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ノーススターメトリックは、顧客が商品を使って得た価値を表す、チーム共通の中心指標です。開発・営業・マーケティングが、どの仕事を優先するか決めるときに使います。
チーム向けのタスク管理サービスなら、「1週間に共同作業を完了したチーム数」が候補になります。登録だけでは仕事が進んだか分からないため、利用者が実際に作業を終えられたかを数える例です。何をもって完了とするかも決めておきます。
この記事では、架空のタスク管理サービスで指標の候補を作り、現場が改善できる数字へ分ける手順を解説します。解約など、中心指標と一緒に確認する数字も整理します。
この記事の目次
ノーススターメトリックとは?チームが共有する中心指標
ノーススターメトリックは、顧客が得た価値を表し、事業の成長につながる中心指標です。開発・営業・サポートが、同じ目標を見ながら仕事を決めるために使います。たとえば共同作業ツールなら、「1週間に共同作業を完了したチーム数」が候補になります。
タスク管理サービスでは、担当の割り振りや仕事の進み具合が分かると、チームの作業を進めやすくなります。誰が何をするかがわかり、チームの仕事を進めたいはずです。そこで「チームで担当を決め、必要な作業を完了できる」を価値の仮説にします。
この仮説を利用者への聞き取りや行動の確認で確かめます。運営側が便利だと思うことと、顧客が実際に助かることが同じとは限りません。
登録者数、ログイン回数、売上は重要ですが、それだけで顧客が仕事を進められたかはわかりません。ノーススターメトリックを考えるときは、その間にある価値の体験を探します。
指標の定義に必要な、対象・行動・集計期間
候補として「1週間に、複数人で担当と完了を記録したチーム数」を考えます。これは説明用の例であり、すべてのタスク管理サービスに合う正解ではありません。
誰が、どんな行動をし、どの期間で数えるかが決まると、計測しやすくなります。「活発な利用」だけでは、人によって違う解釈になります。
| 候補 | わかること | 足りないこと |
|---|---|---|
| 登録者数 | 関心を持ち登録した人数 | 実際に使えたか |
| ログイン回数 | 戻ってきた回数 | 仕事が進んだか |
| 共同作業を完了したチーム数 | 価値に近い行動の広がり | 完了の質や負担 |
よい指標か、4つの問いで確かめる
第一に、顧客の価値を表しているか。第二に、チームの仕事で改善できるか。第三に、継続や売上と関係がありそうか。第四に、定義を変えずに測り続けられるかを確認します。
継続と関係がありそうでも、因果関係が証明されたとは限りません。もともと意欲の高い顧客が多く使っているだけかもしれません。利用者群を分けた確認や、改善施策の検証が必要です。
測りやすさだけで選ぶとクリック数へ寄り、事業の結果だけで選ぶと売上そのものへ戻りがちです。現場の行動と顧客の価値の間にある数字を探します。
中心指標を、各担当が改善できる数字へ分ける
共同作業をするチームを増やすには、招待が届くこと、同僚が参加できること、担当が決まること、完了を記録できることが必要です。これらを改善のための入力指標として追います。
入力指標は、中心指標と必ず掛け算で一致する必要はありません。どの取り組みがどこへ働くかを説明できることが大切です。招待メールの到達を直したのに、完了率の変化だけで担当を評価するのは適切ではありません。
たとえば開発は参加時のエラー、サポートは初回設定のつまずき、マーケティングは対象に合うチームへの案内を担当できます。同じ目標でも、取り組む場所は異なります。
解約や使いにくさも確認する、ガードレール指標
タスクの完了件数だけを目標にすると、細かく分割して件数を増やすことができてしまいます。長い滞在時間だけを目標にすると、操作が難しく時間がかかる状態をよいと誤解する可能性があります。
そこで、解約、問い合わせの増加、誤操作、顧客の負担など、悪化させてはいけない数字も見ます。これをガードレール指標と呼ぶことがあります。「目的の数字が上がっても、この線を越える改善は採用しない」という確認です。
今回なら、共同作業が増えても通知が多すぎて不満が増えていないか、完了を簡単にしすぎて誤記録が増えていないかを確かめます。ひとつの数字へ事業の判断を任せきりにしないでください。
会議では、言葉・候補・判断理由を残す
最初の会議では、顧客が助かる場面を各担当が書き、共通するものを探します。次に2〜3個の指標候補を作り、定義、測れるデータ、期待する関係、誤用の心配を並べます。
「偉い人が選んだ数字」で終わらせず、なぜほかの候補を選ばなかったかも残します。後でサービスや顧客が変わったときに、見直す理由がわかります。
図にするなら、顧客の価値を上に置き、その下に中心指標、さらに担当ごとの入力指標を置くと関係を説明できます。資料作成ツールを使う前に、このつながりを文章で言えるか確認します。
指標の候補を、具体的な言葉へ直してみる
社内で『利用者を増やす』という案が出たら、それだけでは何を良くしたいかが広すぎます。共同作業ツールの例なら、登録しただけの人と、同僚と一緒に仕事を終えた人を同じ利用者として数えてよいか考えます。顧客が得たいのは、アカウントの数ではないはずです。
最初の候補を『1週間に、複数人でひとつ以上の共同タスクを完了したチーム数』へ直してみます。これはこの記事の架空例で、どのツールにも合う正解ではありません。誰を数えるか、何が起きたら数えるか、どの期間かが明確になるので、実際のデータで確認できます。
ここで、タスクを細かく分けるだけで数値が増えないかも考えます。完了ボタンを押すことが目的になるなら、顧客の役に立つ指標からずれてしまいます。完了した仕事の満足度や、利用をやめた理由なども合わせ、数字の増加が価値と一致しているか確かめます。
担当者の行動へ分けるなら、招待メールが届く率、招待された人が参加できる率、共同作業を開始できる率などが候補です。中心の指標と同じものを全員の目標にするのではなく、自分の担当がどこを改善すればよいかを見えるようにします。
指標を採用したら、定義、集計方法、更新する担当、見直す日を一緒に保存します。毎週数字が出ても、定義が変わっていたら比較できません。売上目標との関係も後から確認し、この指標だけでは判断できない品質や収益の条件を残して運用してください。
指標を決めた後も、実際の価値と照らし合わせる
中心指標が伸びたチームは継続しているか、顧客の聞き取りでも役立っているか、特定の使い方だけを優遇していないかを定期的に確認します。定義を変える場合は適用日と理由を残し、過去との比較に注意します。
登録時期ごとの違いを見るならコホート分析、部門間の業務をそろえるならRevOpsが役立ちます。
候補の指標を決めたら、集計する担当と見直す日を置きます。数字の変化と利用者の話を比べ、指標が実際の便利さを表しているか確認しましょう。
よくある疑問を、ここで。
使い始める前に、気になるところから。
売上をノーススターメトリックにしてよい?
売上は重要ですが、現場がどの顧客価値を増やすかまで見えにくい場合があります。価値を受け取った行動と継続・売上の関係を考え、ほかの経営指標も併用します。
一度決めたら変更できない?
事業や顧客が変われば見直せます。ただし毎回都合よく変えると比較できません。変更理由、定義、適用日を残し、新旧の数字を同じものとして扱わないようにします。
会社に中心指標があるなら、部署ごとのKPIは不要ですか?
必要です。中心指標は共通の方向を示しますが、部署が今日直せる場所まで表しているとは限りません。今回の例なら、招待が届く、同僚が参加できる、作業が完了する、という途中の数字を各担当が見ます。全員へ同じ結果の責任を置くより、担当できる改善とつなぐ方が行動しやすくなります。
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