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「次に営業する会社を選んでほしい」。取引先の一覧を見ても、会社の規模や業種だけでは、どこから連絡すればよいか迷うことがあります。

ICPは、営業やマーケティングで優先する顧客企業の条件をまとめたものです。「どんな課題を持つ会社に、自社の商品が合うのか」を整理し、営業先の選定や提案に使います。

架空の在庫管理ソフトを例に、どんな会社へ提案するか、その会社の担当者へ何を説明するかを分けて考えます。商品に合う条件をまとめ、営業先を選ぶところまで順に見ていきましょう。

この記事の目次
01

ICPとは?自社に合う顧客企業の条件をまとめたもの

ICPはIdeal Customer Profileの略で、日本語では「理想顧客像」と呼ばれます。法人向けの営業では、自社の商品で課題を解決しやすく、取引の継続や収益も期待できる企業の特徴を整理します。

たとえば、複数の倉庫の在庫をまとめて管理するソフトなら、「倉庫間の移動が多い」「在庫数を表計算へ何度も転記している」といった企業の条件が候補になります。小さな店舗でレジの買い替えだけを望む会社とは、必要な機能が違います。

02

ICPとペルソナの違いを、在庫管理ソフトの例で見る

ICPが表すのは、商品やサービスに合う「企業の条件」です。ペルソナが表すのは、利用や購入判断に関わる「人の具体像」です。同じ会社でも、現場で使う人と予算を承認する人では、知りたいことが変わります。

まずは会社の様子を見てください。倉庫が複数あり、在庫の転記が多いなら、このソフトで解決できる課題がありそうです。ただし、今のシステムと接続できるか、費用が見合うかは別に確認します。

説明用の架空場面。ICPの例は「複数の倉庫を持ち、在庫の転記に手間がかかる会社」です。倉庫がいくつあるか、今どのように在庫数を更新しているかを確認します。
ICPの例は「複数の倉庫を持ち、在庫の転記に手間がかかる会社」です。倉庫がいくつあるか、今どのように在庫数を更新しているかを確認します。 AI生成のイラスト。人物・事業者は架空です。画像を大きく見る ↗(新しいタブで開きます)
企業の条件と、担当者の関心を分ける
比べることICPペルソナ
対象どんな会社かその会社のどんな担当者か
在庫管理の例複数倉庫・転記が多い・接続条件が合う現場責任者は入力の手間、承認者は費用と導入期間を確認
使う場面提案する企業を選ぶ説明する内容や資料を決める
03

候補の3社を、同じ条件で比べてみる

次に、その会社で話をする相手を考えます。現場責任者なら「一日の入力作業がどう変わるか」、経理や経営者なら「導入費用と運用負担」が判断材料になります。会社の条件と人の関心を分けると、同じ説明を全員へ送らずに済みます。

架空の候補3社を比べましょう。A社は二つの倉庫を表計算で管理しています。B社は一店舗で、主な希望はレジの入れ替えです。C社は新倉庫の計画がありますが、現在の在庫管理方法はまだ聞けていません。

A社には接続するシステムと費用を確認します。B社には、このソフトでレジの課題まで解けるかを確かめます。C社には現状の作業を聞きます。分からない項目は「未確認」として扱い、次に聞くことを決めます。

説明用の架空場面。同じ会社でも、現場の責任者は入力の手間を気にします。費用を承認する人なら、月額料金や導入期間が疑問になります。この担当者ごとの関心を具体化するのがペルソナです。
同じ会社でも、現場の責任者は入力の手間を気にします。費用を承認する人なら、月額料金や導入期間が疑問になります。この担当者ごとの関心を具体化するのがペルソナです。 AI生成のイラスト。人物・事業者は架空です。画像を大きく見る ↗(新しいタブで開きます)
同じ在庫管理ソフトで3社を調べる架空例
候補分かっていること次に確認すること
A社二つの倉庫、表計算への転記が多い接続するシステム、運用人数、費用
B社一店舗、レジを入れ替えたいレジと在庫のどちらが主な課題か
C社新しい倉庫を計画中今の管理方法と、増設後に困る作業
04

ICPの作り方① 既存顧客と失注案件を調べる

すでに契約した顧客のうち、継続して使っている会社と、途中で利用が止まった会社を比べます。業種や規模だけでなく、導入前の課題、運用担当、使っているシステム、導入後の負担を確認します。

在庫管理なら「倉庫が増えて、どの作業に時間がかかるようになりましたか」「在庫数は誰が、いつ更新していますか」と聞きます。「効率化したいですか」だけでは、具体的に何を変えるべきかが分かりません。

失注案件では、価格、必要機能、接続条件、時期などの理由を分けます。値段を下げれば合う会社と、必要な機能がそもそも違う会社では、見直すところが変わります。

担当者の発言と、自社の推測を別々に残します。少数の顧客から作った条件は仮説です。契約した会社だけでなく、合わなかった会社の記録も使って確かめます。

05

ICPの作り方② 条件と確認項目をまとめる

調べた内容を、提案先の選定に使える条件へまとめます。この架空のソフトなら、「複数の倉庫を管理している」「同じ在庫数を何度も入力している」が課題の候補です。接続できるシステムや運用担当の有無も確認します。

条件には、必須、あると望ましい、対象外、未確認を設けます。従業員数だけで切らず、その人数が機能や提供体制とどう関係するかを説明できる条件にしてください。

新倉庫を計画中のC社は、現状の作業を聞いてから判断します。情報がないことと、商品が合わないことは分けて記録すると、次の確認を進めやすくなります。

在庫管理ソフトの条件表の例
区分条件の例確認方法
課題倉庫間の在庫転記に手間がかかる日々の作業を担当者へ聞く
必須現在の受注・在庫データを取り込めるシステム名とデータ形式を確認
望ましい運用を担当する人が決まっている担当部署と役割を確認
未確認予算と開始時期窓口へ相談して確かめる
06

ICPの作り方③ 営業先の選定と提案に使う

営業先の一覧には、条件に合う理由、根拠、未確認事項、次の質問を残します。「有望」とだけ書くより、担当が替わっても調査を続けやすくなります。

マーケティングは在庫転記の改善方法を解説し、営業はA社の実際の入力作業を聞きます。現場向けには操作の流れ、承認者向けには費用と移行期間を用意します。ICPとペルソナを、提案内容へつなぐ場面です。

市場への売り方全体を考えるならGTM戦略、選んだ企業へ個別に提案するならABMも参考になります。

07

インタビューの記録を整理する

インタビューの後は、質問ごとに「本人の発言」「こちらの解釈」「追加で聞くこと」を整理します。短い聞き取りなら、面談中のメモを終了直後にまとめる方法で進められます。

録音を何度も聞き返す作業が増えた場合は、文字起こしサービスが選択肢になります。録音や外部サービスへの保存は、相手への説明と社内の情報管理ルールを確認してから行います。

文字起こしを使う場合も、会社名、人数、金額、肯定・否定の表現は元の録音と照合します。条件にまとめる際は、どの発言が根拠になったかをたどれるように残します。

08

社内共有用のICPは、こうまとめる

社内へ共有するなら、「複数倉庫の在庫を表計算で管理し、転記や確認に時間がかかっている会社」を候補として書きます。これは架空のソフトの例であり、すべての在庫管理製品に当てはまる条件ではありません。

続けて、必要な接続先、データの取り込み方法、利用人数、運用担当を確認します。A社は課題が見えていますが、まだ契約を決められる情報はそろっていません。費用と開始時期を聞く担当を決めます。

ペルソナは、現場責任者と承認者を分けてまとめます。現場責任者へは「入荷から在庫更新までの手順」、承認者へは「初期費用・月額費用・移行中に必要な作業」を説明します。実際の役割は窓口へ確認してください。

B社が望むのがレジ機能だけなら、別の製品の方が合う可能性があります。C社は現状と新倉庫の計画を確認します。このように、会社ごとの判断理由と次の行動まで残して初めて、営業で使えるICPになります。

共有資料は、対象の条件、確認した根拠、担当者ごとの疑問、次に聞くことをまとめます。資料作成の道具を使う場合も、空欄を推測で埋めず、調査で分かった内容をそのまま扱います。

09

運用後に確認する数字と、見直しのタイミング

運用後は、条件に合う会社と話せた割合、課題を確認できた割合、提案後の結果を追います。契約したかに加え、導入後に使い続けられたかも見てください。営業時の条件が、利用時の適合まで説明できるかを確認します。

接続条件で断られる会社が多いなら、営業の説明だけでなく対象条件や機能を見直す必要があります。開始時期だけが合わなかった会社は、商品が合わない会社と分けて記録します。

まずは実際の候補数社を同じ条件で調べ、担当者が迷った点を残しましょう。条件を一度で完成させようとせず、確認できた事実を加えて更新します。

QUICK ANSWERS

よくある疑問を、ここで。

使い始める前に、気になるところから。

ICPは1社ずつ作るものですか?

基本的には、複数の企業に共通する顧客条件をまとめます。その条件に実際の企業を当てはめて、営業先を選びます。商品や用途が大きく違う場合は、条件を分けて整理します。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
新規事業で顧客がいない場合は、何から始めますか?

想定する顧客へ、仕事で困っていること、現在の対処方法、導入に必要な条件を聞きます。分かった範囲で仮のICPを作り、提案した結果で修正します。聞き取りの人数と範囲も残しておきます。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
業種と従業員数が決まっていれば、ICPになりますか?

業種と従業員数に加え、解決したい課題や導入条件も確認します。在庫管理ソフトなら、倉庫の数、転記の負担、接続するシステムなどです。同じ業種・規模の会社でも、必要な機能と運用体制は違います。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。

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