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ABMは、営業したい企業を選び、その会社の課題や担当者に合わせて情報提供と提案を進めるマーケティングです。営業とマーケティングが同じ企業の状況を共有して取り組みます。

梱包設備を販売する会社が、印刷工場へ提案する場面を考えます。製造責任者はラインに入るか、保守担当は故障時の対応、購買担当は費用と納期を知りたい。同じ一社の案件でも、判断材料を相手に合わせます。

架空の設備導入を例に、対象企業の選び方、関係者ごとの説明、営業との連携、成果の確認までを解説します。

この記事の目次
01

ABMとは?選んだ企業に合わせて提案するマーケティング

ABM(Account-Based Marketing)は、対象となる企業を選び、その企業の課題や関係者に合わせて提案するマーケティングです。会社単位で営業とマーケティングが情報を共有し、どんな説明や支援が必要かを考えます。

印刷工場の梱包設備を題材にします。まず製造責任者が、生産ラインに新しい設備を組み込めるか確認する場面です。この一社の中でも、保守や購買の担当者には別の説明が必要になります。

説明用の架空場面。対象の印刷工場で、梱包設備が今の生産ラインに入るか確認する場面です。同じ導入案件でも、製造・保守・購買では必要な説明が変わります。
対象の印刷工場で、梱包設備が今の生産ラインに入るか確認する場面です。同じ導入案件でも、製造・保守・購買では必要な説明が変わります。 AI生成のイラスト。人物・事業者は架空です。画像を大きく見る ↗(新しいタブで開きます)
02

対象企業を選ぶ条件を、ICPで整理する

一般的なリード獲得では、資料請求などから関心のある人を集め、その人がどの企業に属するかを確認します。ABMでは、先に対象企業を考え、その企業の関係者が必要とする情報を届けることに重心を置きます。

だからといって、検索記事や公開セミナーが不要になるわけではありません。対象企業の担当者が自分で調べるときにも、役立つ情報が必要です。公開情報と個別の対話を組み合わせます。

すべての企業へ個別の調査をするのは負担が大きいため、契約の価値、必要な支援、対象の数との釣り合いを考えます。契約単価が低く、少ない説明で買える商品なら、別の売り方の方が合う場合もあります。

ICPは、自社の商品やサービスに合う顧客企業の条件です。この設備なら「箱詰め作業が多い」「既存ラインに接続できる」「保守を提供できる地域」といった条件が候補になります。実際の対象条件は、機械の仕様と提供体制に合わせます。

条件は、必須、望ましい、対象外、未確認に分けます。「必要性がありそう」と「本人に課題を確認した」は、同じ根拠ではありません。公開情報からの推測は、そのまま推測として残します。

対象企業を選ぶ条件を、ICPで整理する
企業わかっていることまだ確かめること
A社新しい生産ラインの計画を公表梱包工程も新設するか
B社過去の相談で箱詰めに時間がかかると聞いた今も課題か、設備更新の時期
C社大手印刷会社であることだけ確認自社設備が役立つ作業と条件
03

製造・保守・購買が知りたい情報を整理する

設備を使う製造担当、故障や点検を扱う保守担当、契約を進める購買担当、費用を承認する責任者などが関わります。窓口の一人だけで導入を決めるとは限りません。

製造担当には設置場所と前後の作業、保守担当には点検と故障時の窓口、購買担当には費用、納期、契約条件を説明します。一社向けの提案でも、資料は役割ごとに必要な部分を分けると判断しやすくなります。

誰が何を判断するかは、実際の窓口へ確認します。部署名だけで決裁者を決めつけず、連絡の希望と社内の進め方に合わせて必要な人へ情報を届けます。

04

企業ごとの課題に合わせて、提案内容を変える

A社には、新ラインで梱包工程をどう設計するかを聞きます。B社には、箱詰め作業のどこに時間がかかり、その後どんな対策をしたかを確認します。同じ設備でも、提案の前提となる課題は別々です。

提案資料には、確認できた課題、自社で支援できる範囲、できない範囲、導入条件を載せます。公開情報だけで作った仮説を、顧客が言った悩みのように書かないことが重要です。

事例を使うなら、同じ業界というだけでなく、困りごとや利用条件が近いかを見ます。他社で得た結果がそのまま再現すると約束せず、参考になる点と違う点を伝えます。

05

マーケティングと営業で、対象と次の行動を合わせる

マーケティングが梱包工程の資料を届けている間に、営業が関係のない設備を一斉案内すると、相手が判断しづらくなります。対象企業、確認した工程、担当、接点、次の行動を共有します。

顧客から聞き取る機会があるなら、発言、担当者の解釈、次に確認することを分けて残します。録音・文字起こしを使う場合は、目的と情報の扱いを確認し、実際の発言と記録が合っているかを見直します。

営業が受け取った後の状況もマーケティングへ戻します。返事がない理由を「興味なし」と一律に扱わず、未接触、連絡時期が先、対象外など、確認できた状態を記録します。

06

接点・課題の確認・商談・契約を企業単位で追う

対象企業の何社と接点ができたか、課題を確認できたか、必要な関係者と話せたか、商談や契約へ進んだかを見ます。同じ企業の3人が資料を読んだことを、新規企業3社の獲得と数えないようにします。

一方で、企業単位の集計には名寄せの限界があります。個人メールや代理店経由の問い合わせなど、会社を確定できない場合は推測の数字と分けます。

対象企業はもともと契約しやすい条件で選んでいるかもしれません。そのため、対象外企業との成約率の差だけでABMの効果を断定しないでください。選定条件と、施策前から進んでいた案件を記録します。

07

対象企業を決めた後の、最初の一週間

ABMを始める担当者が、まず対象候補を3社に絞ったとします。これは始め方を説明する架空の例で、推奨する固定の社数ではありません。最初に各社の公式情報と、営業がすでに聞いている内容を並べ、確認できた事実と推測を分けます。

梱包設備なら、扱う箱、処理する量、設置場所、前後の工程、設備更新の時期を確認します。増産の発表だけで設備予算があるとは決められません。公開情報からの推測と、本人に聞いた事実は分けます。

次に、製造・保守・購買それぞれの疑問をまとめます。製造には作業のつながり、保守には点検と故障対応、購買には費用と納期を示します。必要な情報を用意し、実際の担当者が判断できる状態にします。

そのうえで、すでに接点のある担当者へ、今の課題に合う情報を届けます。個人へ大量に連絡することがABMではありません。相手が相談したい段階かを確かめ、必要な関係者が判断できる情報を用意します。接点がない場合も、取得した情報の利用条件や連絡方法を確認します。

週末には、企業リストの件数ではなく『課題が確認できたか』『次に話す相手がわかったか』『提案の条件が変わったか』を見ます。合わないとわかった企業は理由を付けて候補から外して構いません。新たに分かった条件を、次の企業選定へ反映します。

08

運用のつまずきと、対象企業の見直し

よくある失敗は、大手企業だけを並べる、社名だけ差し替える、接点のない企業を大量に追う、営業と別々に動くことです。いずれも、相手が何を判断したいかが抜けています。

最初は担当者が実際に調査・対応できる数へ絞り、各社について「選んだ理由」「未確認のこと」「次の質問」を書きます。件数に固定の正解はありません。調べても役立つ理由が見つからない企業は、無理に残さない判断も必要です。

企業の選び方はICP、関心の兆候の読み方はインテントデータへ。選んだ企業ごとに、確認済みの課題、次に話す相手、提案する内容を記録しておきましょう。

QUICK ANSWERS

よくある疑問を、ここで。

使い始める前に、気になるところから。

ABMは大企業だけが対象?

会社の大きさだけで決まりません。個別の調査や支援にかける費用と、提供できる価値が釣り合うかを考えます。自社が役立てる企業を選ぶ条件が先です。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
対象企業の社員へ一斉に送ればよい?

それでは個別の課題を踏まえた対応とはいえません。関係者の役割、本人の希望、連絡のルールを確認し、必要な情報を適切な窓口へ届けます。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
対象企業は何社くらいに絞るとよいですか?

記事の例を全社共通の社数にはしないでください。各社の課題を調べ、関係者を把握し、提案を変えて追える件数から始めます。名簿を増やしても調査や対応ができなければ、通常の一斉営業と変わらなくなります。まず少数で必要な工数と反応を確かめてから広げます。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。

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