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MMMは、売上と広告費、価格、季節などのデータをまとめて分析し、それぞれが売上にどれほど関わったかを推定する方法です。分析結果は、次の広告予算をどう配分するか考える材料になります。

夏にアイスの売上と動画広告費が同時に増えたとします。広告だけでなく、気温の上昇や値引きも売上へ影響します。MMMでは、こうした要因のデータを一緒に扱い、広告の効果をどの程度説明できるかを調べます。

この記事では、分析を依頼する担当者向けに、必要なデータ、他の分析との違い、結果の読み方を説明します。効果は推定なので、分析に使った前提や誤差の幅も確認します。

この記事の目次
01

MMMとは?売上と広告・価格・季節の関係を推定する方法

MMMはMarketing Mix Modeling(マーケティングミックスモデリング)の略です。週ごと・地域ごとなどの売上と、広告費・価格・季節などをまとめ、複数の要因と売上の関係を数式で表します。その数式を使って、各要因の影響を推定します。

架空の家電ブランドが、週ごとの売上、検索広告費、動画広告費、平均価格、販促、在庫状況を用意するとします。MMMは、これらの変化と売上の関係をモデルで表します。

広告の効果が後から出ることや、費用を増やしても同じ割合では成果が増えなくなることを扱うモデルもあります。前者は効果の持ち越し、後者は飽和と呼ばれます。

ただし、データにない要因や、同時に変わりすぎる施策は分けにくくなります。精密なグラフが出ても、推定の不確かさがなくなったわけではありません。

02

MMM・アトリビューション・ファネル分析の違い

アトリビューションは、観測できた接点へ成果の貢献を割り当てます。MMMは、集計した施策や環境の変化と成果の関係を推定します。どちらか一方を使えば、すべての効果がわかるというものではありません。

たとえば検索広告が購入の直前に多く使われても、その前に動画広告やテレビで知った影響があるかもしれません。MMMは広い施策の配分を考える材料になりますが、個々の記事のボタンを直す用途には粗すぎる場合があります。

MMM・アトリビューション・ファネル分析の違い
知りたいこと方法の候補注意点
どの操作で離脱したかファネル分析原因は別途確認
観測した接点への配分アトリビューション追加効果とは別
集計した施策と売上の関係MMMデータとモデルの仮定に依存
施策でどれだけ増えたか比較実験など実験設計が必要
03

まず、期間・地域・単位をそろえる

週ごとの売上なら、広告費や価格、販促も同じ週へそろえます。地域別のモデルなら、地域の区切りも合わせます。月次の費用を根拠なく毎週同額へ分けると、実際の変化が失われます。

売上は返品を引いた値か、税を含むか、どの商品を対象にするかを決めます。媒体名が途中で変わったり、手数料込みと抜きが混ざったりしないよう、定義を記録します。

欠損とゼロも分けます。広告を出していない週はゼロですが、データを取得できなかった週は不明です。不明をゼロで埋めると、広告なしでも売れた週のように扱われる恐れがあります。

04

必要なデータの期間と、施策の変化

GoogleのMeridianの公式資料は、モデルの種類や集計粒度に応じた履歴の目安を示しています。たとえば週次の地域別データでは少なくとも2年、全国集計では3年を一般的な目安として案内しています。これはすべてのMMMに共通する最低条件ではありません。

長く保存していても、検索広告と動画広告を毎回同じ比率で増減させていると、それぞれの影響を分けにくくなります。データ量と、判断に使える変化の両方が必要です。

開設したばかりのサイトで数週間分のデータしかない場合、MMMを急ぐより、計測の正確さ、流入、問い合わせ、費用の記録を整える方が役立つことが多いでしょう。

05

値引き・季節・在庫切れなど、広告以外の要因を整理する

値下げと広告増額を同時に行えば、売上増加をどちらへ割り当てるかが難しくなります。大型連休、商品の発売、在庫切れ、店舗の増減なども、モデルへどう扱うか検討します。

何でも変数として入れればよいわけではありません。施策の結果として起きた行動を、不適切に調整へ使うと解釈を誤る場合があります。何が原因側で何が結果側かを、分析担当者と確認します。

依頼する際は、売上の変化が大きかった時期の事情を一覧にしてください。現場が知っている情報は、きれいに整った数値の表だけでは伝わりません。

06

分析結果の前提と、推定の幅を確認する

「動画広告のROIは3です」と言われたら、定義、対象期間、不確かさの範囲、前提を確認します。別の合理的なモデルでも近い結果か、実際の実験結果と矛盾しないかも検討します。

過去の平均的な費用対効果と、ここから追加で使う費用の効果は別です。すでに飽和に近ければ、平均が高い媒体へ追加しても同じ効率にならない可能性があります。

最適化の提案も、過去にない規模へ予算を動かすと不確かさが増えます。予測を確定した売上として扱わず、実行できる小さな変更と観測で確かめます。

07

分析用の表で、0と空欄を取り違えない

MMMを依頼するため、週ごとの売上と広告費を集める場面を考えます。ある週の広告費が空欄だったとき、それは広告を出していない0円なのか、まだ請求データを取り込んでいないのかで意味が違います。空欄をすべて0へ置き換えると、実際とは違うデータを分析してしまいます。

表には週の開始日、対象地域、売上、媒体別の広告費、価格や値引き、在庫切れなどをそろえます。売上は税込みか税抜きか、返品を引く前か後か、広告費は請求日ではなく配信期間に対応しているかを確認します。週の区切りが媒体ごとに違う場合も、そのまま結合しないようにします。

たとえば大きな値引きをした週に広告費も増え、売上が伸びたとします。値引きの情報を落とすと、モデルが広告へ過大な役割を割り当てる可能性があります。在庫切れで売れなかった週も、広告が弱かった週として扱う前に記録を残します。

地域ごとに分析するなら、広告費と売上が同じ地域単位で対応するかを確認します。全国の広告費を根拠なく都道府県へ均等配分すれば、分析に必要な変化を作り物にしてしまいます。取得できない項目は、推測で埋めず担当者へ相談します。

依頼時には、データの期間、単位、欠けている項目、大きな施策変更の日付をまとめます。結果を受け取る際も、推定の幅、過去データへの当てはまり、別の条件でも結論が変わらないかを確認します。モデルを動かしたことより、予算の判断へどこまで使えるかが大切です。

08

分析を依頼する前に、答えてほしい判断を書く

「来期の動画広告と検索広告の配分を考えたい」のように、使う判断を明確にします。対象の売上、期間、施策、制約、データの欠けをまとめます。モデルを作ること自体を目的にしないでください。

資料には、データ一覧、定義、欠損、施策変更の年表を用意します。表計算で整理する場合も、元ファイルと加工後を分け、どこを変更したかわかるようにします。

少ないデータで今すぐ改善するならCVR改善ファネル分析から進めます。MMMは、材料と問いがそろったときに検討する選択肢です。

QUICK ANSWERS

よくある疑問を、ここで。

使い始める前に、気になるところから。

数週間のデータで始められる?

目的とモデルによりますが、長期の季節変動や広告の関係を分けるには不足しやすい範囲です。まず費用と成果の定義、計測、記録を整え、必要な履歴を分析担当者と確認します。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
個人のCookieがなくても万能?

集計データを使えることと、因果関係を正しく推定できることは別です。欠損、同時に変わる施策、価格や季節などの扱い、モデルの仮定を確認する必要があります。

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データが足りない間は、広告の効果を調べられませんか?

MMMだけが方法ではありません。まず広告費と問い合わせ・受注を同じ期間で記録し、計測の欠落や季節要因を確認します。施策の条件に応じて、地域や対象を分けた比較、施策を一度に変えない運用なども検討できます。ただし単純な前後比較にも他の影響があるため、因果効果と断定しないようにします。

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