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E資格は、持っているだけで年収が上がる資格ではありません。一方で、ディープラーニングの理論を理解して実装する力を、決まった範囲で身につけたことを示す資格としては意味があります。
この記事では、2026年9月25日に確認したJDLAと認定プログラムの事業者の公式情報をもとに、費用の総額と、取る価値がある人・ない人の条件を説明します。
この記事の目次
結論:実装を仕事にする人には意味がある。使う側には見合わないことも
E資格は、JDLAが「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する」資格です。受けるには、試験日の過去2年以内にJDLA認定プログラムを修了している必要があります。
費用は受験料(一般33,000円)に認定プログラムの料金が加わるため、総額が大きくなります。「費用と時間に見合うか」は、実装を仕事にするかどうかで大きく変わります。
受ける目的ごとの判断は、表「目的別に見たE資格の意味」のとおりです。自分の目的に近い行を探してください。
| 受ける目的 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 機械学習エンジニア・データサイエンティストを目指す | 意味がある | 理論と実装を体系的に学び直せる |
| 社内でAIの開発チームに入る | 意味がある | 手法の選び方や数式を共通の言葉で話せる |
| すでに実装の実績があり、成果で示せる | 見合わないことも | 作ったものや論文のほうが伝わる |
| AIを使う側として企画・推進をしたい | G検定のほうが近い | E資格は実装の数学・プログラミングが中心 |
| 学生で、就職の材料にしたい | 目的しだい | 学生料金はあるが、学ぶ時間の確保が大切 |
E資格とはどんな資格か
E資格は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施するエンジニア向けの資格です。G検定が「AIを使う側」の知識を問うのに対し、E資格は「AIを作る側」の知識を問います。
出題範囲の大項目は、数学的基礎・機械学習・深層学習の基礎・深層学習の応用・開発運用環境の5つです。2026年第2回の試験から、新しいシラバスが使われています。
試験は120分で、多肢選択式の知識問題が100問程度です。指定の試験会場で受け、申込と受験はピアソンVUEのサイトで行います。
試験は年2回で、2027年は第1回が2月19〜21日、第2回が8月27〜29日です。合格すると、JDLAの合格者コミュニティ「CDLE」に参加できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験料(税込) | 一般33,000円・学生22,000円・会員27,500円 |
| 受験資格 | 試験日の過去2年以内にJDLA認定プログラムを修了 |
| 時間と問題数 | 120分・100問程度(多肢選択式) |
| 会場 | 指定の試験会場(ピアソンVUE) |
| 回数 | 年2回(2027年は2月・8月) |
「意味ない」と言われる4つの理由
「E資格は意味ない」という声には、次の理由があります。どれも一面では事実です。
- 費用が高い:受験料に加え、認定プログラムの修了が必須。総額は7万〜22万円ほどになる。
- 実務の成果は測らない:試験は知識問題で、実際の開発で成果を出せるかは別。
- 求人の必須条件になることは少ない:多くの求人では、資格より実務の経験や作ったものが重視される。
- 知っている人が限られる:AIに関わらない職場では、名前を知らない人もいる。
逆に言えば、「年収を上げる切り札」として取ると期待外れになります。理論と実装を体系的に学ぶ機会として使えば、4つの理由は弱点になりにくくなります。
費用の総額:受験料+認定プログラムで約7万〜22万円
E資格の受験料は一般33,000円・学生22,000円・会員27,500円(税込)です。上位の記事の中には「受験料は数千円」と書いているものもありますが、JDLAの公式ページの金額はこのとおりです。
これに、認定プログラムの受講料が加わります。JDLAの事業者一覧には42のプログラムが載っており、受講料は事業者ごとに大きく違います。JDLAのページには受講料の記載はありません。
表「費用の総額の例」は、2026年9月25日に2つの事業者の公式ページで確かめた料金をもとにした例です。安い講座でも受験料と合わせて7万円ほど、手厚い講座では22万円ほどになります。
会社の研修として受ける場合は、会社が費用を負担することもあります。自費かどうかで、判断は大きく変わります。
| 認定プログラムの例 | 受講料 | 受験料と合わせた総額 |
|---|---|---|
| Study-AI「ラビット・チャレンジ」(月額制) | 入会金22,000円+月3,300円(4か月なら35,200円) | 約68,000円 |
| AVILEN「E資格スピードコース」 | 99,000円 | 132,000円 |
| AVILEN「E資格初学者セット」 | 187,880円 | 約221,000円 |
「資格商法では?」という疑問にどう答えるか
認定プログラムの受講が必須なので、「講座を売るための資格では」と感じる人もいます。知恵袋にも、学生からこうした質問が寄せられています。
認定プログラムは、JDLAが認定した講座で、事業者一覧には大学のものを含めて42のプログラムが載っています。料金は、月額制で数万円のものから、20万円近いものまで幅があります。
高いプログラムほど合格しやすいとは限りません。動画で自分のペースで学ぶか、講師に質問できるかなど、学び方と料金の組み合わせで選ぶのが現実的です。
大学の授業として認定プログラムを用意している大学もあるので、学生はまず自分の大学に同じ制度がないかを確かめてください。
必要な時間:100〜200時間が目安
E資格の勉強時間は、JDLAが公表していません。認定プログラムの事業者の案内では、Study-AIのラビット・チャレンジが修了まで90〜170時間、AVILENのE資格講座が150〜200時間を目安にしています。
認定プログラムを修了するための時間に、試験の対策(問題集・模擬試験)の時間が加わります。
数学(線形代数・微分・確率)とPythonに慣れている人は短く、どちらも初めての人は長くなります。初めての人は、半年ほどの期間を見込むと無理がありません。
勉強時間の詳しい目安と計画は、E資格の勉強時間で説明しています。
実際に受けている人:2026年第2回の受験者
2026年第2回(8月28〜30日)は1,062人が受け、712人が合格しました(合格率67.04%)。G検定(第5回は14,908人)と比べると、受験者は10分の1以下です。
年代は20代が43.26%、30代が28.79%で、若い人の割合がG検定より高くなっています。職種は「情報システム・システム企画」が32.02%で最も多く、業種はソフトウェア業(25.42%)、情報処理・提供サービス業(19.80%)が上位です。
受験者のほとんどがIT・ソフトウェアの仕事の人です。E資格は、同じ職種の人の中で「理論まで学んだ」ことを示す資格と考えると分かりやすくなります。
2026年第2回E資格の受験者の年代
- 20代
43.26%
- 30代
28.79%
20代が4割を超え、キャリアの早い時期に受ける人が多いことが分かります。
合格率は67.04%で、G検定(約77〜83%)より低めです。
E資格で得られる4つのこと
費用に見合うかは、勉強の過程で何が手に入るかで考えます。主に次の4つです。
- 理論の体系:誤差逆伝播法・最適化・正則化・畳み込み・Transformer などを、数式から順に理解できる。
- 論文や技術記事を読む力:数式の記号や用語に慣れ、新しい手法の説明を自分で読めるようになる。
- 実装の土台:認定プログラムの多くで、Pythonで手を動かしながら学ぶ。
- 人とのつながり:合格者コミュニティ「CDLE」に参加でき、勉強会や情報交換の場がある。
独学では後回しにしがちな数学の基礎と、手法の理論を一通りそろえられる点が、E資格の一番の価値です。
取る価値がある人の条件
次の条件に2つ以上当てはまる人は、E資格を取る価値があります。
特に、会社が費用を負担する場合は、自費の場合より判断のハードルが大きく下がります。
- 機械学習・ディープラーニングの実装を仕事にしている、または目指している
- 独学で学んだ知識に抜けがあり、理論を体系的に学び直したい
- 会社が受験料や認定プログラムの費用を負担してくれる
- これから半年で、100〜200時間の勉強時間を取れる
- 論文や技術記事を読んで、新しい手法を自分で追えるようになりたい
取らなくてよい人の条件
次に当てはまる人は、E資格を急いで取る必要はありません。費用と時間を、別の学び方に回したほうが目的に近づきます。
当てはまるものが2つ以上あれば、G検定や、作ったものを見せる学び方を先に検討してください。
- AIを使う側として、企画や推進を担当したい(G検定の範囲が近い)
- すでに実装の実績があり、作ったものや成果で力を示せる
- 自費で、費用を回収できる見込み(昇給・転職)がはっきりしない
- 数学とPythonの基礎がまだで、まず入門から始めたい
- 半年以内に、まとまった勉強時間を取れる見込みがない
G検定との違い
E資格とG検定は、どちらもJDLAの資格ですが、対象と深さが違います。G検定は「AIを事業で活用する知識」、E資格は「ディープラーニングを実装する知識」です。
G検定に受験資格はありませんが、E資格は認定プログラムの修了が必要です。G検定に合格していなくても、E資格は受けられます。
AIを使う側の人はG検定、作る側の人はE資格、という分け方が基本です。作る側の人が、先にG検定で全体を押さえてからE資格に進む順番もあります。
| 項目 | E資格 | G検定 |
|---|---|---|
| 対象 | 実装するエンジニア | 活用を考えるビジネス職・技術職 |
| 受験資格 | 認定プログラムの修了(2年以内) | なし |
| 受験料(一般・税込) | 33,000円 | 13,200円 |
| 時間と問題数 | 120分・100問程度(会場) | オンライン100分・145問程度 |
| 直近の合格率 | 67.04%(2026年第2回) | 76.97%(2026年第5回) |
実務の力は「資格+作ったもの」で示す
E資格は知識の試験なので、それだけで実務の力を示すのは難しい資格です。転職や社内の評価で力を伝えるなら、作ったものと組み合わせます。
- 小さなモデルを1つ作って公開する:画像の分類や文章の分類など、学んだ手法で1つ作り、コードと説明をまとめる。
- 学んだ手法を仕事に当てはめる:社内のデータで、既存の方法と比べた結果を1枚にまとめる。
- 学んだ理論を人に説明する:社内の勉強会や技術ブログで、1つの手法を説明する。
面接では「E資格に合格しました」より「E資格で学んだ○○を使って△△を作り、××が分かりました」と話すほうが、力が伝わります。
学生の判断:学生料金と時間の使い方
学生の受験料は22,000円(税込)です。認定プログラムの中には、学生の割引があるものもあります。大学の授業として認定プログラムを用意している大学もあり、JDLAの事業者一覧に載っています。
学生にとって一番の価値は、就職の前に理論と実装を一通り学べることです。ただ、合格の一行だけで就職が決まるわけではありません。
学んだ手法で作ったものや、研究・授業での使い方と組み合わせて話せるようにすると、E資格が就職活動で生きてきます。
会社に費用を出してもらうための話し方
総額が大きいので、会社の研修制度や資格の補助を使えないかを先に確かめます。相談するときは、次の3点を短くまとめると通りやすくなります。
- 学ぶ理由:担当している、またはこれから担当する仕事と、学ぶ内容のつながり。
- 費用と時間:受験料と認定プログラムの料金、勉強時間の見込み。
- 仕事への返し方:合格後に、社内でどう使うか(勉強会、既存の業務の改善など)。
会社が費用を出す場合、業務時間内に学べるか、合格しなかった場合の扱いも一緒に確かめておきます。
補助の申請が通らなくても、認定プログラムの料金を比べた表を用意しておくと、次の年度の研修の予算に入れてもらいやすくなります。
迷ったときに確かめる3つの質問
費用に見合うか迷ったら、次の3つの質問に答えてください。2つ以上が「はい」なら、取る価値があります。
- 1年以内に、機械学習の実装に関わる予定があるか。
- 費用の一部でも、会社や学校が負担してくれるか。
- 半年で100〜200時間を取れるか。
「はい」が1つ以下なら、まず入門書で数学とPythonを手を動かして試し、続けられそうかを確かめてから決めても遅くありません。
取ると決めたら:2027年2月の試験から逆算する
次の試験は、2027年2月19〜21日(第1回)です。受けるには、試験日の過去2年以内に認定プログラムを修了している必要があるため、プログラムの修了の締切から逆算します。
認定プログラムは、料金・期間・学び方(動画・ライブ・短期集中)がさまざまです。JDLAの事業者一覧から、自分の予算と時間に合うものを選んでください。
試験の対策には、問題集で多肢選択式の問題に慣れておくと安心です。
よくある疑問を、ここで。
使い始める前に、気になるところから。
E資格は何に役立つ資格ですか?
ディープラーニングの理論と実装を体系的に学んだことを示す資格です。機械学習エンジニアを目指す人や、社内のAI開発チームに入る人が、知識の抜けを埋めて共通の言葉を身につけるのに役立ちます。
E資格の合格率は?
2026年第2回は1,062人が受け、712人が合格しました(合格率67.04%、JDLAの発表)。
E資格は難しいですか?
合格率は約7割ですが、受けるのは認定プログラムを修了した人に限られます。数学(線形代数・微分・確率)とPythonの基礎が必要で、勉強時間は100〜200時間ほどを見込みます。
認定プログラムを受けずに受験できますか?
できません。試験日の過去2年以内に、JDLA認定プログラムを修了していることが受験の条件です(2026年9月25日確認)。
E資格は国家資格ですか?
国家資格ではありません。一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施する民間の資格です。
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出典と、この記事について
公式資料や、記事で参照した発表・報道をまとめています。仕様や料金は、利用する前に最新の案内をご確認ください。
- JDLA:E資格(エンジニア資格)試験概要(新しいタブで開きます)
- JDLA:E資格 JDLA認定プログラム(新しいタブで開きます)
- JDLA:E資格認定プログラム事業者一覧(新しいタブで開きます)
- JDLA:「2026年 第2回 E資格」結果発表(2026年9月18日)(新しいタブで開きます)
- Study-AI:ラビット・チャレンジ(E資格認定プログラム)(新しいタブで開きます)
- AVILEN:全人類がわかるE資格講座(新しいタブで開きます)
- JDLA:G検定(ジェネラリスト検定)試験概要(新しいタブで開きます)
- JDLA:「2026年 第5回 G検定」開催結果(2026年9月24日)(新しいタブで開きます)
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