複数の上司から違う指示が来たら、両立しない条件を並べ、誰が何を決めるかを確認します。一方の指示で進めてから、もう一方に初めて知らせる形を繰り返すと、同じ手戻りが起きやすくなります。
ここでは、担当者が「今日15時に案内を送る」と「会場が確定するまで送らない」を同時に求められた架空例で考えます。指示を比べる表、双方への確認文、返答がないときの連絡、決定後の共有までをつなぎます。社内の決裁権や連絡経路は、ご自身の職場のルールで確かめてください。
この記事の目次
最初に、二つの指示を同時に満たせるか確かめる
指示の違いには、内容が食い違う場合と、役割が違うだけの場合があります。「見積額を確認して」と「本文の誤字を直して」なら、両方が必要な仕事かもしれません。何が両立しないのかを、作業・期限・確定してよい範囲に分けます。
イベント担当の鈴木さんは、山田課長から「参加者への案内を今日15時に送付」と頼まれました。その後、現場をまとめる加藤リーダーから「会場が未確定なので、案内はまだ送らないで」と言われます。送ることと保留することは、同じ案内では同時に実行できません。
この場面で確認するのは、誰の性格が強いかではなく、案内を送ってよい条件です。送付する案内の版が違う、仮案内だけなら送ってよいなど、説明されていない条件がある可能性も残します。

| 食い違うもの | 確認する問い | 決めたいこと |
|---|---|---|
| 作業の内容 | 同じ資料・同じ対象への指示ですか | 比べる対象 |
| 期限と前提 | 何が確定したら、いつ実行できますか | 実行する条件 |
| 担当と権限 | この案件を確定できるのは誰ですか | 判断を求める相手 |
指示は、日時・内容・条件を同じ表に残す
記録は「山田さんと加藤さんが仲が悪い」という解釈から始めず、受けた指示を確認できる形にします。口頭なら、自分が理解した内容と、まだ確かめていない点を分けて書きます。
鈴木さんの例では、次の表を使えます。会場が決まる見込みや、送付の決定者は、分からないうちは未確認のままにします。空欄を自分の予想で埋めないことが大切です。
表は、会社が利用を認める記録先へ置きます。元のメールや資料は、その職場の保存ルールに沿って参照できるようにし、関係のない人や個人の端末へ広げません。口頭の指示は「この理解で合っていますか」と読み戻します。
| 確認項目 | 山田課長からの指示 | 加藤リーダーからの指示 |
|---|---|---|
| 受けた時刻 | 今日13時 | 今日13時20分 |
| 対象 | 参加者への案内 | 同じ参加者への案内 |
| 実行すること | 今日15時に送付 | 会場確定まで保留 |
| 根拠・条件 | 送付期限の説明あり | 会場が未確定 |
| 未確認の点 | 仮案内でもよいか | 会場の確定見込み |
同じ事実をそろえて、双方へ確認する
比較できたら、指示の内容、同時に実行できない点、いつまでに何を決めてほしいかを短く伝えます。「加藤さんが反対しています」と人物の対立に置き換えるより、会場未確定という条件をそのまま示す形です。
両方を宛先に入れてよい職場なら、同じ連絡で確認できます。上司間の調整を直属の上司が担当する運用なら、まずその人へ表を渡し、もう一方への確認と共有を頼みます。私的なやり取りを、許可なく丸ごと転送する必要はありません。
この14時は、架空例で送付準備に必要な時間から置いた確認時刻です。自分の仕事では、最終期限から確認や修正に必要な時間を考えて書き換えます。返答が遅れた場合に間に合わなくなることも、早めに伝えます。
同報を使わない場合も、片方には「今日送ります」、もう片方には「まだ送りません」と別々に約束しません。同じ表を基に、誰が調整し、決定後に誰へ知らせるかを確認します。

返答がないときは、未決の条件と仕事への影響を再連絡する
確認時刻になっても返事がなければ、返事がないことを承認と扱いません。何が決まっていないか、最終期限へどんな影響があるか、誰へ次の確認を頼むかを伝えます。
鈴木さんが案内の下書きを整えられても、会場を独断で確定したり、参加者へ新しい送付時刻を約束したりする判断は別です。返答前に進めてよい範囲は確認し、分からない部分は未決として残します。
次の確認先は、会社が定める責任者や相談経路に沿って選びます。誰にも知らせず仕事を止め続けることと、保留している条件と影響を報告することは、相手から見える状況が違います。安全や顧客への約束に関わる判断を、返答のないまま埋め合わせないようにします。
同じ食い違いが続くなら、指示の窓口と変更の共有方法を相談する
毎回その場で二人に聞き続けるだけでは、確認の負担が残ります。同じ食い違いが起きた記録を使い、指示の窓口、最終的に決める人、変更を知らせる場所をそろえられないか相談します。
伝えるのは、「二人とも困った人です」という評価より、「今月、案内の送付と保留が同じ日に指示され、確認まで作業が戻ったことが2回ありました。送付の決定と変更連絡を一本化できますか」のような仕事への影響です。この回数も架空例なので、自分の記録で確認できる事実へ置き換えてください。
繰り返す叱責や不適切な扱いがあり、本人たちへの確認だけでは進められない場合は、人事などの社内窓口へ相談します。社外では、厚生労働省の総合労働相談コーナーが職場のトラブルを扱い、面談や電話で無料の相談に対応しています。対象や相談方法は公式案内で確かめてください。総合労働相談コーナーの案内
相談用の記録には、受けた指示、確認した内容、返答、仕事への影響を整理します。機密資料を無断で持ち出さず、何をどの形で示せばよいか、窓口へ先に確かめます。この記事の例だけで、違法性や誰の責任かを判定することはできません。
今日することは、一つの食い違いを同じ記録で確認する
いま受けている指示から一つ選び、対象、期限、条件、未確認の点を書き出します。その表を基に、判断してほしいことと必要な時刻を伝え、返答前の作業範囲も確かめてください。決まったら、指示を出した双方へ同じ条件を共有します。
一人の上司の指示が曖昧で、完成形をつかめない場合は、上司の指示を二案で確かめる質問例が使えます。管理職として上と現場の要求を調整する場面は、中間管理職の板挟みと決定権の整理で扱っています。
よくある疑問を、ここで。
使い始める前に、気になるところから。
必ず、役職が高い人の指示を優先しますか?
役職だけでは、この案件の決定権を判断できません。社内の担当や決裁のルールを見て、分からなければ直属の上司へ、誰が何を決めるかを確認します。
二人を同じメールの宛先に入れてよいですか?
その職場で認められる共有方法かを先に確かめます。同報での確認が通常でない場合は、調整を担当する人へ同じ比較表を渡し、もう一方への確認と決定後の共有を頼みます。
返事がなければ、自分が正しいと思う方で進めますか?
返事がないことを承認とは扱いません。未決の条件、期限への影響、確認先を再連絡し、返答前に進めてよい作業の範囲を確かめます。
口頭で指示された場合、何を残せばよいですか?
日時、対象、内容、期限、前提条件を自分の理解として書き、相手に読み戻します。会社が認める記録先を使い、機密や個人情報を必要以上に共有しません。
この確認で、上司同士の関係も改善しますか?
関係の改善を保証する方法ではありません。まずは今回の仕事の実行条件と決定者をそろえる手順です。食い違いや不適切な扱いが続くなら、仕事への影響を記録して適切な窓口へ相談します。
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