複数の上司から違う指示が来たら、両立しない条件を並べ、誰が何を決めるかを確認します。一方の指示で進めてから、もう一方に初めて知らせる形を繰り返すと、同じ手戻りが起きやすくなります。

ここでは、担当者が「今日15時に案内を送る」と「会場が確定するまで送らない」を同時に求められた架空例で考えます。指示を比べる表、双方への確認文、返答がないときの連絡、決定後の共有までをつなぎます。社内の決裁権や連絡経路は、ご自身の職場のルールで確かめてください。

この記事の目次
01

最初に、二つの指示を同時に満たせるか確かめる

指示の違いには、内容が食い違う場合と、役割が違うだけの場合があります。「見積額を確認して」と「本文の誤字を直して」なら、両方が必要な仕事かもしれません。何が両立しないのかを、作業・期限・確定してよい範囲に分けます。

イベント担当の鈴木さんは、山田課長から「参加者への案内を今日15時に送付」と頼まれました。その後、現場をまとめる加藤リーダーから「会場が未確定なので、案内はまだ送らないで」と言われます。送ることと保留することは、同じ案内では同時に実行できません。

この場面で確認するのは、誰の性格が強いかではなく、案内を送ってよい条件です。送付する案内の版が違う、仮案内だけなら送ってよいなど、説明されていない条件がある可能性も残します。

今日15時の送付と、会場が確定するまでの保留という二つの指示を持って考える架空の担当者
今日15時の送付と、会場確定までの保留を同時に求められた架空例(AI生成)。比べるのは人物の強さではなく、実行する条件です。画像を大きく見る ↗(新しいタブで開きます)
指示の食い違いを分ける確認項目
食い違うもの確認する問い決めたいこと
作業の内容同じ資料・同じ対象への指示ですか比べる対象
期限と前提何が確定したら、いつ実行できますか実行する条件
担当と権限この案件を確定できるのは誰ですか判断を求める相手
    02

    指示は、日時・内容・条件を同じ表に残す

    記録は「山田さんと加藤さんが仲が悪い」という解釈から始めず、受けた指示を確認できる形にします。口頭なら、自分が理解した内容と、まだ確かめていない点を分けて書きます。

    鈴木さんの例では、次の表を使えます。会場が決まる見込みや、送付の決定者は、分からないうちは未確認のままにします。空欄を自分の予想で埋めないことが大切です。

    表は、会社が利用を認める記録先へ置きます。元のメールや資料は、その職場の保存ルールに沿って参照できるようにし、関係のない人や個人の端末へ広げません。口頭の指示は「この理解で合っていますか」と読み戻します。

    同じ案内について受けた指示の比較表(架空例)
    確認項目山田課長からの指示加藤リーダーからの指示
    受けた時刻今日13時今日13時20分
    対象参加者への案内同じ参加者への案内
    実行すること今日15時に送付会場確定まで保留
    根拠・条件送付期限の説明あり会場が未確定
    未確認の点仮案内でもよいか会場の確定見込み
      03

      同じ事実をそろえて、双方へ確認する

      比較できたら、指示の内容、同時に実行できない点、いつまでに何を決めてほしいかを短く伝えます。「加藤さんが反対しています」と人物の対立に置き換えるより、会場未確定という条件をそのまま示す形です。

      両方を宛先に入れてよい職場なら、同じ連絡で確認できます。上司間の調整を直属の上司が担当する運用なら、まずその人へ表を渡し、もう一方への確認と共有を頼みます。私的なやり取りを、許可なく丸ごと転送する必要はありません。

      この14時は、架空例で送付準備に必要な時間から置いた確認時刻です。自分の仕事では、最終期限から確認や修正に必要な時間を考えて書き換えます。返答が遅れた場合に間に合わなくなることも、早めに伝えます。

      同報を使わない場合も、片方には「今日送ります」、もう片方には「まだ送りません」と別々に約束しません。同じ表を基に、誰が調整し、決定後に誰へ知らせるかを確認します。

      同じ指示の比較表を持ち、二人への確認を準備する架空の担当者
      同じ比較メモを基に、二人へ確認する準備をする架空例(AI生成)。実際のメールや送信記録ではありません。画像を大きく見る ↗(新しいタブで開きます)
        04

        役職だけで選ばず、その案件の決定者を確かめる

        人事上の上司と、案件を進める責任者が違う職場もあります。ここでいう決定者は、その案件を実行する条件を確定できる担当者です。役職の高さだけで、今回の送付や変更を決められる人だと断定しません。社内の担当表や決裁のルールを見て、分からなければ直属の上司へ確認します。

        Atlassianが紹介するDACIという役割整理でも、情報を集めて決定を進める人、決める人、意見を出す人、決定を知らせる人を分けます。これは運用の参考で、ご自身の会社の権限を決める規程ではありません。Atlassian公式の役割整理

        鈴木さんの架空例では、社内の担当表で、案内送付の決定者が案件責任者の高橋さんと分かりました。そこで、山田課長と加藤リーダーの指示、会場の状況、必要な判断時刻を同じ表で渡します。「どちらの指示に従うべきか」だけでなく、「この案内をいつ、どの条件で送るか」を決めてもらうためです。

        05

        返答がないときは、未決の条件と仕事への影響を再連絡する

        確認時刻になっても返事がなければ、返事がないことを承認と扱いません。何が決まっていないか、最終期限へどんな影響があるか、誰へ次の確認を頼むかを伝えます。

        鈴木さんが案内の下書きを整えられても、会場を独断で確定したり、参加者へ新しい送付時刻を約束したりする判断は別です。返答前に進めてよい範囲は確認し、分からない部分は未決として残します。

        次の確認先は、会社が定める責任者や相談経路に沿って選びます。誰にも知らせず仕事を止め続けることと、保留している条件と影響を報告することは、相手から見える状況が違います。安全や顧客への約束に関わる判断を、返答のないまま埋め合わせないようにします。

          06

          決まったら、変更した条件を双方へ読み戻す

          高橋さんは、今日の送付を保留し、会場確定後の明日11時に送る方針を決めたとします。加藤リーダーが内容を確認し、鈴木さんが送付するという担当も決まりました。この決定は架空例で、実在する職場へ連絡した結果ではありません。

          決定を聞いたら、内容、条件、担当、期限を短く読み戻し、今回の指示に関わった人へ共有します。後から別の指示が来たときにも、何を変更する話かを比べられるようにします。

          決定後に「やはり今日送って」と言われたら、確定した条件から何を変えるのかを確認します。「変更の指示を受けました。会場の確認前に送る方針へ変わるという理解でよいか、決定者へ照合します」と、現在の決定を基に話します。

          決定された送付条件を紙の記録で確かめ、関係者へ共有する架空の担当者
          会場確定後の明日11時という決定を確かめ、双方へ共有する架空例(AI生成)。前提条件は本文の文例で確認します。画像を大きく見る ↗(新しいタブで開きます)
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            同じ食い違いが続くなら、指示の窓口と変更の共有方法を相談する

            毎回その場で二人に聞き続けるだけでは、確認の負担が残ります。同じ食い違いが起きた記録を使い、指示の窓口、最終的に決める人、変更を知らせる場所をそろえられないか相談します。

            伝えるのは、「二人とも困った人です」という評価より、「今月、案内の送付と保留が同じ日に指示され、確認まで作業が戻ったことが2回ありました。送付の決定と変更連絡を一本化できますか」のような仕事への影響です。この回数も架空例なので、自分の記録で確認できる事実へ置き換えてください。

            繰り返す叱責や不適切な扱いがあり、本人たちへの確認だけでは進められない場合は、人事などの社内窓口へ相談します。社外では、厚生労働省の総合労働相談コーナーが職場のトラブルを扱い、面談や電話で無料の相談に対応しています。対象や相談方法は公式案内で確かめてください。総合労働相談コーナーの案内

            相談用の記録には、受けた指示、確認した内容、返答、仕事への影響を整理します。機密資料を無断で持ち出さず、何をどの形で示せばよいか、窓口へ先に確かめます。この記事の例だけで、違法性や誰の責任かを判定することはできません。

            08

            今日することは、一つの食い違いを同じ記録で確認する

            いま受けている指示から一つ選び、対象、期限、条件、未確認の点を書き出します。その表を基に、判断してほしいことと必要な時刻を伝え、返答前の作業範囲も確かめてください。決まったら、指示を出した双方へ同じ条件を共有します。

            一人の上司の指示が曖昧で、完成形をつかめない場合は、上司の指示を二案で確かめる質問例が使えます。管理職として上と現場の要求を調整する場面は、中間管理職の板挟みと決定権の整理で扱っています。

            QUICK ANSWERS

            よくある疑問を、ここで。

            使い始める前に、気になるところから。

            必ず、役職が高い人の指示を優先しますか?

            役職だけでは、この案件の決定権を判断できません。社内の担当や決裁のルールを見て、分からなければ直属の上司へ、誰が何を決めるかを確認します。

            この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
            二人を同じメールの宛先に入れてよいですか?

            その職場で認められる共有方法かを先に確かめます。同報での確認が通常でない場合は、調整を担当する人へ同じ比較表を渡し、もう一方への確認と決定後の共有を頼みます。

            この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
            返事がなければ、自分が正しいと思う方で進めますか?

            返事がないことを承認とは扱いません。未決の条件、期限への影響、確認先を再連絡し、返答前に進めてよい作業の範囲を確かめます。

            この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
            口頭で指示された場合、何を残せばよいですか?

            日時、対象、内容、期限、前提条件を自分の理解として書き、相手に読み戻します。会社が認める記録先を使い、機密や個人情報を必要以上に共有しません。

            この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
            この確認で、上司同士の関係も改善しますか?

            関係の改善を保証する方法ではありません。まずは今回の仕事の実行条件と決定者をそろえる手順です。食い違いや不適切な扱いが続くなら、仕事への影響を記録して適切な窓口へ相談します。

            この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。

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