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周りの人は同じ仕事を半分の時間で終わらせているのに、自分だけ時間がかかる。「まだ終わらないの?」と言われるたびに落ち込み、焦ってミスが増える。仕事の遅さに悩む人の多くは、手を抜いているのではなく、むしろ真面目に取り組んでいます。

この記事では、遅くなる原因の見分け方と、今日から使える進め方を説明します。2026年9月26日に確認した厚生労働省の資料も参考にしています。

この記事の目次
01

結論:原因を見分け、見積もりと途中報告で「遅い」を「見通しが立つ」に変える

仕事が遅い原因は、人によって違います。まず、どこで時間がかかっているのかを見分けることが、速くなるための近道です。

主な原因と見分け方、対策は、表「遅くなる原因と対策」のとおりです。当てはまるものが複数あっても大丈夫です。

遅くなる原因と対策
原因見分け方対策
手順を知らない毎回、調べたり聞いたりしている手順書を作る
完璧を求めすぎる見直しや手直しに時間がかかる求められる出来を先に聞く
途中で迷って手が止まる何をするか考えている時間が長い作業を小さく分けてから始める
仕事の量が多すぎる全部終わらせる時間がそもそもない上司と優先順位を決め直す
割り込みが多い電話やチャットで何度も中断する集中する時間を決める
02

仕事の量や失敗への不安は、多くの人の悩み

厚生労働省の令和6年の労働安全衛生調査では、仕事に強いストレスがある人のうち、43.2%が仕事の量、36.2%が仕事の失敗・責任の発生などを挙げていました。

仕事が遅くて締め切りに追われる、失敗が怖くて手が止まる、という悩みは、決して珍しいものではありません。悩みを抱えていること自体を、責める必要はありません。

03

落ち込むのは、真面目に向き合っているから

仕事が遅いと落ち込むのは、それだけ仕事をきちんとしたい気持ちがあるからです。気にしない人は、そもそも落ち込みません。

ただし、落ち込んだまま焦ると、確認が雑になってミスが増え、さらに遅くなるという悪い循環に入りがちです。気持ちと仕事の進め方を切り分けて、進め方だけを1つずつ直していきましょう。

04

遅くなる5つの原因

仕事が遅くなる原因は、主に次の5つです。自分がどれに当てはまるかを考えながら読んでください。

  1. 手順を知らない:やり方を毎回調べたり、人に聞いたりしている。経験が浅いうちは、よくあること。
  2. 完璧を求めすぎる:求められている以上の出来を目指し、見直しや手直しを繰り返す。
  3. 途中で迷って手が止まる:何から手をつけるか、次に何をするかを考える時間が長い。
  4. 仕事の量が多すぎる:一人でこなせる量を超えていて、誰がやっても間に合わない。
  5. 割り込みが多い:電話やチャット、頼まれごとで作業が何度も中断される。

1〜3は進め方の工夫で、4と5は上司への相談や環境の調整で変えられます。

05

1日の作業時間を記録して、原因を見つける

どこで時間がかかっているかは、感覚では分かりにくいものです。2〜3日だけ、次のように作業時間を記録してください。

  1. 作業を始めた時刻と終えた時刻を書く:「10:00〜10:45 見積書の作成」のように書く。
  2. 中断されたら、その理由を書く:「電話」「質問された」など一言でよい。
  3. 迷っていた時間があれば、印をつける:何をするか考えていた時間も記録する。

記録を見ると、「見直しに1時間かけていた」「チャットで15回中断されていた」など、原因がはっきりします。原因が分かれば、この記事のどの対策を使えばよいかも決まります。

06

作業を小さく分けてから始める

途中で迷って手が止まる人は、作業を始める前に、30分ほどで終わる小さな作業に分けてください。分けておくと、次に何をするかで迷わなくなります。

例えば「企画書を作る」なら、「目的を3行で書く」「必要な数字を集める」「構成を決める」「本文を書く」「見直す」のように分けます。

分けた作業に順番をつけ、1つ終わるごとに印をつけていくと、進み具合が自分にも周りにも見えるようになります。

07

朝いちばんに、その日の段取りを決める

1日の始めに段取りを決めておくと、途中で迷う時間が大きく減ります。出社したら、メールを開く前に次の3つを紙かメモに書いてください。

  1. 今日やることを3つに絞る:それ以外は「できたらやること」に回す。
  2. それぞれにかかる時間を書く:会議や打ち合わせの時間を除いて、入るかを確かめる。
  3. いちばん大事な仕事を午前に置く:頭がすっきりしている時間に、重い仕事を片づける。

夕方に、書いた3つが終わったかを見返します。終わらなかった理由を一言書いておくと、翌朝の段取りが上手になっていきます。

08

見積もりの立て方:小さく分けて、余裕を足す

「いつまでにできる?」と聞かれて答えに困る人は、見積もりの立て方を決めておくと楽になります。

  1. 作業を小さく分ける:30分ほどで終わる単位に分ける。
  2. それぞれにかかる時間を書く:初めての作業は、経験のある人に目安を聞く。
  3. 合計に余裕を足す:迷いや割り込みの分として、合計の半分ほどを足しておく。
  4. 締め切りと比べる:間に合わないなら、その場で相談する。

見積もりが外れたら、次の見積もりに生かせば十分です。何度か繰り返すうちに、自分の作業の速さがつかめてきます。

09

見積もりの例:入社2年目の人が、報告書を頼まれたら

入社2年目の人が、金曜日締め切りの月次の報告書を頼まれた場合の見積もりの例は、表「報告書の見積もりの例」のとおりです。

合計が6時間なら、余裕を足して9時間ほどを見込みます。水曜日の時点で半分終わっていなければ、その時点で上司に相談すれば、締め切りの直前に慌てずに済みます。

報告書の見積もりの例
作業かかる時間いつやるか
先月の報告書を読み、形式を確かめる30分月曜日
必要な数字を集める2時間月曜日・火曜日
表とグラフを作る1時間30分火曜日
本文を書く1時間30分水曜日
見直して、先輩に確認してもらう30分木曜日
10

途中の報告で、「遅い」の印象は変わる

仕事が遅いと言われる人の多くは、実は途中の様子が周りに見えていないことで損をしています。半分ほど進んだ所で途中の報告をするだけで、「遅い」は「見通しが立っている」に変わります。

途中の報告では、どこまで進んだか、いつ終わりそうか、困っていることの3つを伝えます。間に合わなそうなら、この時点で相談できれば、周りも手を打てます。

そのまま使える文例は、囲み「途中の報告の文例」のとおりです。

11

完璧にしすぎない:求められる出来を先に聞く

見直しや手直しに時間がかかる人は、求められている以上の出来を目指しているのかもしれません。仕事を頼まれたら、使い道と求められる出来を先に確かめてください。

例えば「社内の打ち合わせ用ですか、お客様に出すものですか」「完成の前に一度見ていただけますか」と聞きます。社内用なら、見た目より中身が伝わることを優先できます。

完成してから見せるより、8割ほどの段階で一度見せるほうが、方向違いの手直しが減り、結果として早く終わります。

12

割り込みを減らして、集中する時間をつくる

電話やチャットで何度も中断されると、元の作業に戻るたびに時間がかかります。1日の中に、集中して作業する時間を決めておくと効果があります。

急ぎでないチャットは、1時間おきにまとめて見る、集中したい時間は「〇時までは資料作りに集中します」と周りに伝える、の2つから始めてください。

割り込みの多さが仕事の量のせいなら、自分だけでは減らせません。記録した中断の回数を見せて、上司に相談してください。

13

手順書とひな形で、毎回考える時間を減らす

同じ種類の仕事を毎回ゼロから考えていると、時間がかかります。よくする仕事は、手順書とひな形を作っておきましょう。

手順書は、聞いたことや自分でつまずいた所を、番号つきの手順として書き足していくものです。メールや報告書のひな形を用意しておけば、書き出しで迷う時間がなくなります。

作った手順書は、後輩が入ってきたときにも役立ちます。自分のためだけでなく、職場の財産にもなります。

14

仕事の量が多すぎるときは、優先順位を決め直す

進め方を工夫しても間に合わないなら、仕事の量そのものが多すぎる可能性があります。この場合、自分の努力だけでは解決しません。

抱えている仕事と締め切り、かかる時間の見込みを紙に書き出し、上司に見せて「どれを優先すればよいですか」と相談してください。見積もりがあると、上司も判断しやすくなります。

15

「遅い」と言われたときの受け止め方

「遅い」と言われたら、落ち込む前に、何がどのくらい遅いのかを具体的に聞いてください。「どの仕事を、いつまでに終えればよいですか」と聞けば、次の目標がはっきりします。

一方で、人格を否定するような言い方や、大勢の前での威圧的な叱責が繰り返される場合は、指導の範囲を超えているかもしれません。厚生労働省は、こうした言動をパワーハラスメントの「精神的な攻撃」の例として挙げています。

つらい言い方が続くときは、日時と言われた内容を記録し、社内の相談窓口や総合労働相談コーナーに相談してください。

16

落ち込みから立て直す考え方

仕事の速さは、経験と工夫で少しずつ変わっていきます。落ち込んだときは、次の3つを思い出してください。

  1. 遅さは、あなたの価値ではない:慣れと進め方の問題で、努力で変えられる。
  2. 比べる相手は、昨日の自分:同じ仕事にかかった時間が短くなっていれば、前に進んでいる。
  3. 1日に1つだけ直す:全部を一度に変えようとしない。

作業時間の記録を続けると、同じ仕事にかかる時間が短くなっていくのが数字で見えます。それが、何よりの自信になります。

17

眠れない・集中できない日が続くときは

仕事の遅さへの不安から、眠れない、食べられない、集中できない日が続くときは、進め方の工夫より先に、体と心を休めることが大切です。

集中しにくさや忘れっぽさが昔から続いていて気になるときも、自分で判断せず、医療機関に相談してください。厚生労働省のこころの耳には、働く人の相談窓口と、医療機関を探すページがあります。

こころの耳の「職場のストレスセルフチェック」で、今のストレスの程度の目安を確かめることもできます。

18

仕事を速く進める考え方を、まとめて学ぶなら

進め方の工夫を一通り試したうえで、仕事を速く進める考え方をまとめて学びたい人は、ビジネス書を1冊読むのも方法です。

例えば、石川和男さんの『仕事が速い人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所、2020年)は、仕事を速く進めるための原則をまとめた本です。記事で紹介した記録や見積もりと合わせて、自分に合う方法を選んでください。

20

3人の例で考える

よくある3つの状況で、何から直すかの例を挙げます。

  1. 資料の見直しに毎回1時間かける人:頼まれたときに使い道を聞き、8割の段階で一度見せる。
  2. 締め切りの前日に「間に合いません」と言ってしまう人:作業を分けて見積もり、半分の時点で途中の報告をする。
  3. チャットの対応で作業が進まない人:1時間おきにまとめて見る。中断の回数を記録して上司に相談する。

3人とも、原因に合った1つの工夫で、遅さの印象は変えられます。全部を一度に直そうとせず、今週は1つだけ試してください。

21

仕事の遅さを立て直す確認リスト

最後に、今日から見直せる項目をまとめます。

  • 2〜3日、作業時間と中断の理由を記録した
  • 作業を30分ほどの単位に分けてから始めた
  • 見積もりに余裕を足し、締め切りと比べた
  • 半分ほど進んだ所で、途中の報告をした
  • 頼まれたときに、使い道と求められる出来を聞いた
  • 仕事の量が多すぎるなら、上司と優先順位を決め直した
QUICK ANSWERS

よくある疑問を、ここで。

使い始める前に、気になるところから。

仕事のメンタルが限界に達したサインは?

眠れない・食べられない日が続く、休日も気分が晴れない、涙が出る、集中できないなどが続くときは、一人で抱え込まずに相談してください。こころの耳には、働く人のための電話・SNS・メールの相談窓口があります。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。こころの耳(厚生労働省):相談窓口案内(新しいタブ)
仕事でキャパオーバーのサインは?

進め方を工夫しても、仕事の量そのものが終わらない状態が続くことです。厚生労働省の調査でも、強いストレスの内容で最も多いのは仕事の量(43.2%)でした。仕事と締め切りを書き出し、上司と優先順位を決め直してください。

仕事をやめたほうがいいサインは?

心や体に不調が続く、仕事の量を相談しても変わらない、人格を否定されるような言動が続く、といった場合は、働き方や職場を変えることを考える時期です。先に休むことと相談を優先してください。

ADHDの人は仕事が遅いですか?

一概には言えず、この記事では医学的な判断はしません。集中しにくさや忘れっぽさが昔から続いていて仕事に支障があるときは、自分で決めつけず、医療機関に相談してください。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。こころの耳(厚生労働省):相談窓口案内(新しいタブ)
見積もりがいつも外れてしまいます。

外れた理由を記録し、次の見積もりで余裕を増やしてください。作業を30分ほどの単位に分け、合計の半分ほどを余裕として足すと外れにくくなります。何度か繰り返すうちに、自分の速さがつかめます。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。厚生労働省:令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(新しいタブ)

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