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経理の仕事は、AIですぐになくなるわけではありません。減るのは入力や照合などの作業で、数字を確かめて説明し、判断を支える仕事は残ります。

よく引用される「日本の労働人口の49%がAIなどで代替可能」という試算は、2015年に野村総合研究所が発表したもので、技術的にできるかどうかの推計です。実際に置き換わるかは人手の需給などの影響も大きいと、発表資料に書かれています。

この記事では、2026年9月24日に確認した厚生労働省の統計と公式情報をもとに、経理の作業の分け方と、これから伸ばす力を説明します。

この記事の目次
01

結論:なくなるのは「作業」、残るのは確かめる・説明する・決める仕事

経理の仕事は、作業と判断に分けて考えると見通しが立ちます。入力・照合・転記のような作業はAIや会計ソフトで減っていきますが、数字が正しいかを確かめ、説明し、判断を支える仕事は人に残ります

次の3つに分けて、自分の仕事を見直します。

  1. AIに任せる:明細の取り込み、仕訳の候補づくり、請求書の読み取り。
  2. 人が確かめる:AIが作った仕訳の誤り、例外の取引、残高が合わない原因。
  3. 人が決める:会計処理の方針、資金繰りの判断材料、経営者への説明。
02

「49%が代替可能」の本当の意味:技術的な可能性の推計

2015年12月の野村総合研究所の発表では、10〜20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業で、技術的には人工知能やロボットなどで代替できる可能性が高いと推計しました。代替できる可能性が高い100の職業には、経理事務員も入っています。

ただし発表資料には、技術的な代替可能性であり、実際に代替されるかは労働需給などの社会環境の影響も大きいが、試算では考慮していないと書かれています。1人の業務の一部だけを機械が代わる確率も、検討していません。

つまり「経理がなくなる」という意味ではなく、経理の仕事に含まれる作業が、技術的にどこまで機械でできるかを示したものです。

03

今の求人の数字:会計事務の有効求人倍率は0.56倍(2026年7月)

厚生労働省の一般職業紹介状況では、2026年7月の会計事務の有効求人倍率は0.56倍でした(常用・パートを含む)。仕事を探す人1人に対して、求人が0.56件という意味です。

会計事務の有効求人数は、前年の同じ月より9.1%減っています。ただし、これはハローワークの求人の数字で、減った理由がAIかどうかは統計からは分かりません。

職業別の有効求人倍率(2026年7月)

  1. 職業計

    すべての職業

    1.05
  2. 事務の職業全体

    一般事務・会計事務などを含む

    0.36
  3. 会計事務

    経理の仕事を含む分類

    0.56
  4. 一般事務

    定型的な事務

    0.29
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表(2026年9月24日確認)。常用・パートを含む原数値です。

1倍を下回るほど、仕事を探す人に対して求人が少ないことを表します。会計事務は職業計より低く、一般事務よりは高い水準です。

04

経理の作業を「任せる・確かめる・決める」に分けた表

表「経理の作業と、人に残る仕事」の右の列にある仕事ほど、これから価値が上がります。AIの出力には誤りが混ざることがあるため、確かめる力のある経理担当者はむしろ必要とされます。

会計ソフトの自動化も進んでいます。たとえばマネーフォワード クラウド会計の公式ページでは、2,300以上の金融関連サービスから明細を自動で取得し、仕訳の候補を確認して登録できると案内しています。

経理の作業と、人に残る仕事
作業AI・会計ソフトでできること人に残ること
日々の記帳明細の取り込み、仕訳の候補づくり候補の誤りの修正、例外の判断
請求書・領収書読み取りと入力取引の中身の確認、保存のルールの管理
月次の締め残高の照合の補助差が出た原因の調査
決算・税務集計の下書き会計処理の方針、税理士とのやり取り
経営への報告グラフや表の下書き数字の意味の説明、改善の提案
05

これから伸ばす3つの力:説明・自動化の手順づくり・管理会計

作業が減るほど、次の3つの力が評価されやすくなります。

  1. 数字を説明する力:試算表の変化を、経営者や現場に分かる言葉で説明する。
  2. 作業の流れを作る力:会計ソフトや表計算で、作業が自動で流れる手順を作る。
  3. 管理会計の力:部門別の損益や、予算と実績の差を見て、改善の材料を出す。

業務の自動化の考え方は業務自動化の始め方で、管理会計に進む道はFP&Aはつまらない?で説明しています。

06

世界の予測:事務の仕事は減り、確かめて使いこなす人が求められる

世界経済フォーラムが2025年1月に公表した予測では、2030年までに1億7,000万の仕事が生まれ、9,200万の仕事が失われます。減るのが速い仕事には、事務アシスタントが入っています。

同じ予測で、雇用主の77%が働く人の学び直しを計画していると答えています。仕事で必要なスキルの約40%が変わるとされており、経理でもAIを使いこなす側に回る準備が大切です。

向き不向きに悩んでいる場合は、経理に向いてない?で、原因別の判断表を紹介しています。

QUICK ANSWERS

よくある疑問を、ここで。

使い始める前に、気になるところから。

経理の仕事は将来なくなるのでしょうか?

なくなるのは入力や照合などの作業で、経理の仕事そのものがなくなるとは言えません。AIの誤りを確かめる、数字を経営者に説明する、会計処理の方針を決めるといった仕事は人に残ると考えられます。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。
AI化によってなくなると言われる職業は?

2015年の野村総合研究所の試算では、一般事務員や経理事務員などが「技術的に代替できる可能性が高い」職業に入っています。ただし実際に代替されるかは社会環境の影響も大きく、試算では考慮していないと書かれています。

経理が今から身につけるべきことは?

試算表の変化を分かる言葉で説明する力、会計ソフトや表計算で作業の流れを作る力、部門別の損益や予算との差を見る管理会計の力の3つがおすすめです。

この記事の内容をもとにした、編集部からの提案です。

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