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チャーンレートは、一定期間に顧客や継続売上をどれくらい失ったかを表す割合です。顧客数で見る「顧客チャーン」と、月額の継続売上で見る「売上チャーン」では数えるものが違います。
期首も期末も有料顧客が7社だからといって、解約率0%とは限りません。架空の10契約を使い、顧客チャーン28.57%、グロス売上チャーン35.48%、ネット売上チャーン32.26%になる理由を順に確認します。数値は説明用で、業界の推奨水準ではありません。
この記事の目次
どのチャーンを計算するか決める
顧客チャーンは何社が有料顧客でなくなったか、売上チャーンは期首にあった継続売上をどれだけ失ったかを見ます。グロスは減少分だけ、ネットは既存顧客の増額分も差し引きます。Stripeの解説も、このグロスとネットの違いを示しています。
本記事は2026年9月の期首と期末を比較し、有料継続顧客を対象にします。MRRは月額へそろえた継続売上で、単発の入金額や実際の会計売上とは区別します。年額契約、割引、従量課金、為替をどう月額化するかは先に定義してください。
| 指標 | 分子 | 分母 |
|---|---|---|
| 顧客チャーン | 期首有料顧客で、期末の有料契約がなくなった顧客数 | 期首の有料顧客数 |
| グロス売上チャーン | 期首契約の解約・縮小によるMRR減少額 | 期首MRR |
| ネット売上チャーン | MRR減少額−期首顧客のMRR増額分 | 期首MRR |
10契約を、顧客IDでまとめて読む
C002は2つの有料契約を持ち、2,000円の契約だけを解約します。残り8,000円の契約が続くので、顧客を1社失ったとは数えません。C006は有料から無料へ移り、この例の「有料顧客」の定義では離脱として扱います。
C005は当月の新規、C007は期首に有料でなく当月再開した顧客です。この2社を期首顧客の分母へ追加しません。期間途中の解約と再開を両方数える方法もありますが、本記事の期首・期末の状態比較とは別です。イベント数を知りたい場合は契約の変更履歴を使ってください。

| 顧客 | 期首MRR→期末MRR | 内容 |
|---|---|---|
| C001 | 10,000→0円 | 全部解約 |
| C002 | 10,000→8,000円 | 2契約のうち2,000円分を解約 |
| C003 | 15,000→12,000円 | 縮小 |
| C004 | 5,000→7,000円 | 増額 |
| C005 | 0→6,000円 | 新規 |
| C006 | 7,000→0円 | 無料化 |
| C007 | 0→4,000円 | 再開 |
| C008 | 6,000→6,000円 | 継続 |
| C009 | 9,000→9,000円 | 継続 |
顧客チャーン:2社÷7社=28.57%
期首の有料顧客はC001、C002、C003、C004、C006、C008、C009の7社です。このうち期末に有料契約がないのはC001とC006の2社。2÷7×100=28.57%です。契約件数で割ると、1社が複数契約を持つ影響が混ざります。
期末の有料顧客は、新規C005と再開C007が加わって7社に戻ります。「期首7−期末7=0」を解約社数には使えません。顧客数の純増減と、元からいた顧客の離脱は分けてください。
グロス売上チャーン:22,000円÷62,000円=35.48%
期首MRRは62,000円。失ったMRRは、全部解約・無料化の17,000円、C002の部分解約2,000円、C003の縮小3,000円で合計22,000円です。22,000÷62,000×100=35.48%になります。
C004の増額2,000円を相殺せず、期首にあった売上がどれだけ減ったかを見ます。顧客数が維持されても、一部の契約解約やプラン縮小があれば売上チャーンは生じます。契約別に計算した減少額を顧客へ集約すると、この違いを追いやすくなります。

ネット売上チャーン:増額分を差し引いて32.26%
減少22,000円から、期首顧客C004の増額2,000円を差し引きます。(22,000−2,000)÷62,000×100=32.26%。新規6,000円と再開4,000円は、このネットチャーンの改善分に入れません。
期首顧客の期末MRRは42,000円です。62,000−22,000+2,000=42,000円。そこへ新規・再開の10,000円を足すと、全体の期末MRRは52,000円になります。このつながりを確認すると、計算から漏れた契約や二重計上を探せます。
無料Excelで、顧客と契約の二重計上を確かめる
配布ファイルは契約別の期首・期末MRRから減少と増額を求め、顧客IDで有料状態を集約します。実データに替えたら、契約IDの重複、顧客IDの空欄、MRRが数値か、期間がそろっているかを先に確認してください。
期首顧客数や期首MRRが0なら、その分母を使うチャーンは算出不可です。新規だけの月に0%と表示すると、既存顧客が維持されたように見えます。負のMRRを返金のつもりで入力する場合も、売上の調整と契約の継続額を混ぜず、元データの定義から見直します。
配布ファイルは本文の例を再計算するための出発点です。黄色の入力欄を架空データで試してから使い、行を増やす際は集計・検索の参照範囲も合わせて延ばしてください。会社が認めた保存先で扱い、実データへ置き換える前に原本を別名で残します。

月次を12倍して、年次の解約率にしない
毎月同じ割合で期首の顧客が離脱し、新規・再開を除くという仮定なら、年間の離脱割合は1−(1−月次チャーン)^12で試算できます。月次2%なら1−0.98^12≒21.53%で、24%とは違います。これは一定の離脱率を仮定したモデルです。
実際の年次チャーンは、年の初めにいた顧客を追い、年末の状態や採用する解約イベントの定義に従って計算します。月ごとに母集団が違う率の単純平均、12倍、複利換算は、実測の年次解約率と同一ではありません。
原因を調べるときは、離脱・縮小・増額を分ける
高いという結果だけで、価格が原因とは分かりません。解約理由、開始からの期間、利用状況、担当、商品別に確認し、手続き上の失敗と顧客の意思による終了も区別します。少数顧客の大口解約なら、社数と金額の両方を見ます。
ネットがマイナスになる場合は、既存顧客の増額が減少を上回っています。それでも顧客の離脱がないとは限りません。顧客チャーンとグロスも併記し、増額が一部顧客へ集中していないかを確かめます。都度購入の再購入はリピート率の計算で別に扱います。

よくある疑問を、ここで。
使い始める前に、気になるところから。
一部契約の解約は顧客チャーンに入る?
顧客がほかの有料契約を継続しているなら、本記事の定義では入りません。減ったMRRは売上チャーンへ入れます。
ネットチャーンがマイナスでもよい?
既存顧客の増額が解約・縮小を上回ればマイナスになります。計算ミスとは限りませんが、顧客離脱や減少が隠れていないか、他の指標も確認します。
目安は何%?
業種、顧客規模、契約期間、無料化の扱い、指標の定義で変わります。同じ条件の過去や比較対象を使い、一般的な一つの数字だけで良否を決めないでください。
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