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仕事を辞めたい。でも、ほかの人は我慢しているのに、自分だけ逃げるのは甘えではないか。そう考えて、何か月も決められずにいる人は少なくありません。「甘えかどうか」を気持ちで決めようとすると、答えが出ないまま疲れていきます。
この記事では、2026年9月26日に確認した厚生労働省の資料をもとに、甘えの問題ではない状態と、迷う人が自分で判断するための問いを説明します。
この記事の目次
結論:甘えかどうかではなく、今の状態で判断する
「辞めたいのは甘えか」という問いには、正解がありません。大事なのは、甘えかどうかではなく、今のあなたの状態です。
状態ごとの考え方と次の一歩は、表「今の状態と次の一歩」のとおりです。上の3つに当てはまるなら、我慢を続けることを優先しないでください。
| 今の状態 | 甘えの問題か | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 眠れない・食べられないなど心身に不調がある | 甘えの問題ではない | 休むこと、医療機関や相談窓口 |
| パワハラや嫌がらせを受けている | 甘えの問題ではない | 記録を残し、社内外に相談 |
| 法律の上限を超えるような長時間労働が続く | 甘えの問題ではない | 労働時間を記録し、相談 |
| 仕事が合わない、成長できないと感じる | 考える価値のある悩み | 5つの問いで整理し、選択肢を調べる |
| 一時的な失敗や人間関係の摩擦 | 工夫で変わる余地がある | 社内で変えられることを試す |
辞めたい気持ちを抱えている人は多い
厚生労働省の令和6年の労働安全衛生調査では、仕事や職業生活に強い不安・悩み・ストレスがある人は68.3%でした。内容で多かったのは、仕事の量(43.2%)、仕事の失敗・責任の発生など(36.2%)、仕事の質(26.4%)、対人関係(26.1%)です。
つらさを感じながら働いている人は、あなただけではありません。そのうえで、つらさの原因がどこにあるかを見分けることが、判断の第一歩になります。
「甘え」の問題ではない3つの状態
次の3つに当てはまる場合は、我慢や根性で乗り切る問題ではありません。休む、相談する、環境を変えることを考えてください。
- 心や体に不調が出ている:眠れない、食べられない、涙が出る、休日も気分が晴れない状態が続く。
- パワハラや嫌がらせを受けている:人格を否定される、無視される、明らかにできない仕事を押しつけられるなど。
- 法律の上限を超えるような長時間労働が続いている:残業が毎月の上限を大きく超え、休む時間がとれない。
どれも、本人の努力不足ではなく、働く環境や健康の問題です。自分を責めるより先に、休むことと相談を選んでください。
残業の上限を知っておく
厚生労働省によると、法律で決められた労働時間は1日8時間・週40時間です。これを超えて働かせるには、会社と働く人の代表が36協定を結び、届け出る必要があります。
残業の上限は、原則として月45時間・年360時間です。特別な事情がある場合でも、年720時間以内、休日の労働を含めて月100時間未満、2〜6か月の平均で80時間以内に収めなければなりません。
自分の残業時間がこれを大きく超えているなら、働き方そのものに問題があります。出社と退社の時刻を毎日メモしておくと、相談するときの材料になります。
| 項目 | 上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 原則の上限 | 月45時間・年360時間 | 36協定が必要 |
| 特別な事情がある場合 | 年720時間以内 | 月45時間を超えられるのは年6か月まで |
| 休日を含む1か月 | 100時間未満 | 特別な事情がある場合も同じ |
| 2〜6か月の平均 | 80時間以内 | 休日の労働を含む |
長時間労働が続くなら、働いた時間を記録する
残業が多いと感じても、記録がないと、相談したときに状況が伝わりにくくなります。今日から、次の3つを毎日メモしてください。
- 出社と退社の時刻:会社の記録と別に、自分でも残す。
- 休憩をとれた時間:昼休みに仕事をした日も書く。
- 家に持ち帰った仕事:夜や休日にメールや資料作りをした時間も書く。
スマホのメモや手帳で十分です。1か月分そろうと、残業が上限を超えていないかを自分で確かめられ、相談の材料にもなります。
パワハラかどうかの見分け方
厚生労働省は、職場のパワーハラスメントを、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、働く環境を害するもの、と定義しています。3つの要素をすべて満たすものが対象で、適正な指導はパワハラに当たりません。
代表的な言動として、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害の6つが挙げられています。当てはまりそうなら、日時・場所・内容・その場にいた人を記録してください。
迷う人が確かめる5つの問い
3つの状態に当てはまらないけれど、辞めたい気持ちが消えない。そんなときは、次の5つの問いに紙に書いて答えてみてください。
- 辞めたい理由を、1文で言えるか:言えないなら、まず理由を書き出すところから始める。
- その理由は、今の会社にいても変えられるか:仕事の量、担当、部署などは、相談で変わることもある。
- 辞めたい気持ちは、いつから続いているか:1〜2週間の波か、何か月も続いているかで重みが違う。
- 辞めた後に、やりたいことや避けたいことはあるか:「今の職場から離れたい」だけなら、次も同じ悩みになりやすい。
- 3か月後の自分は、どちらを選んで後悔していないか:残った自分と、辞めた自分を両方想像する。
答えを書くと、気持ちの中で混ざっていた理由が分かれて見えます。書いた紙は、相談するときにそのまま使えます。
辞める前に、社内で変えられること
辞めたい理由が、仕事の量や担当、特定の人間関係なら、会社の中で変えられることもあります。
- 仕事の量を相談する:抱えている仕事を書き出し、優先順位を上司と決め直す。
- 担当や部署の変更を相談する:会社が好きで、今の仕事だけが合わないなら、異動も選択肢になる。
- 働き方を変える:時短勤務、在宅勤務など、会社の制度を確かめる。
- 休む:有給休暇を使って少し離れると、落ち着いて考え直せることがある。
試しても変わらなかったなら、それは「辞める理由」がはっきりしたということです。後悔の少ない判断につながります。
上司に相談するときの言い方
「辞めたい」といきなり伝えるより、「困っていること」と「変えてほしいこと」を分けて伝えるほうが、話が進みやすくなります。
例えば「最近、担当の仕事が増えて、毎日22時まで残っています。優先順位を一緒に決めていただけないでしょうか」のように、事実とお願いを具体的に伝えます。
上司に話しにくいときは、人事の担当者や社内の相談窓口から始めても構いません。話す前に、5つの問いの答えを手元に置いておくと、落ち着いて伝えられます。
心と体がつらいときは、判断より休むことが先
心や体に不調が出ているときは、大きな決断をしないほうが安全です。疲れ切った状態では、選択肢が「辞める」か「我慢する」かの2つしか見えなくなりがちです。
まず休み、眠れる・食べられる状態に戻してから、辞めるかを考えます。休んでいる間は、仕事の連絡から離れてください。
休み方や、休むときの連絡の仕方は、仕事に行きたくない朝はどうする?で説明しています。
一人で決めずに使える相談先
辞めるかどうかは、一人で抱え込むほど決めにくくなります。無料で使える主な相談先は、表「辞めたいときに使える相談先」のとおりです。
こころの耳の「職場のストレスセルフチェック」で、自分のストレスの程度の目安を確かめることもできます。
| 相談先 | 相談できること | 使い方 |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー | パワハラ・労働条件・退職のトラブル | 予約不要・無料、面談か電話 |
| こころの耳(厚生労働省) | 心の悩み | 電話・SNS・メール |
| 会社の人事・相談窓口 | 仕事の量・異動・休み方 | 社内の窓口に連絡 |
| 医療機関 | 心や体の不調 | こころの耳の医療機関検索 |
身近な人に話すと、考えが整理される
厚生労働省の調査では、仕事のストレスを相談できる人がいる人のうち、相談相手で最も多いのは家族・友人(68.6%)でした。辞めるかどうかの迷いも、身近な人に話すことで整理されることがあります。
話すときは、答えを出してもらうより、「今こういう理由で迷っている」と聞いてもらうつもりで話すと、自分の気持ちが見えてきます。反対されたら、どこが心配なのかを聞くと、見落としていた点に気づけます。
残ると決めた人が、次にすること
考えた末に、今は残ると決めた人もいるはずです。その場合は、見直す日を決めておくと、我慢が続くだけの毎日になりません。
例えば「3か月後にもう一度5つの問いに答える」と手帳に書いておきます。その間に、仕事の量の相談や異動の相談など、社内で変えられることを1つずつ試してください。
3か月後に同じ答えなら、それは一時的な気持ちではありません。そのときは、辞める準備を具体的に始める時期です。
「仕事が合わない」「成長できない」と感じるとき
心身の不調やハラスメントはないけれど、今の仕事が合わない、このままでは成長できないと感じる。この悩みは甘えではなく、キャリアについて考える大切なきっかけです。
ただし、今の職場を離れることが目的になると、次の職場でも同じ悩みを抱えやすくなります。何が合わないのか、次に何を大事にしたいのかを言葉にしてから動くと、後悔が減ります。
転職するか迷っている段階なら、考え方を整理する本を1冊読んでみるのも方法です。
転職するかどうかを、考え方から整理する
転職で失敗しないためには、「どの会社に行くか」より先に、自分がどんな仕事なら続けられるか、会社の将来性をどう見るかを考える必要があります。
そうした考え方を物語の形で説明する本として、『転職の思考法』があります。すでに辞めると決めた人や、心身の不調が先の人には、急いで読む必要はありません。
辞める前に確かめたい、お金と手続きのこと
辞めると決める前に、生活のお金の見通しを立てておくと、焦って次を決めずに済みます。確かめておきたいのは次の3つです。
- 今の貯金で、何か月暮らせるか:家賃や食費など、毎月出ていくお金から計算する。
- 次の収入の見通し:転職先を決めてから辞めるか、辞めてから探すかで準備が変わる。
- 健康保険と年金の切り替え:会社を辞めると手続きが必要になる。
辞めると決めた後の伝え方や、申し出から退職までの決まりは、仕事を辞めたいけど辞められない人へで説明しています。
年代で変わる考え方
「20代で辞めるのは早い」「40代では遅い」といった声もありますが、年代だけで正解は決まりません。年代ごとに気をつけたい点は、表「年代ごとに気をつけたい点」のとおりです。
どの年代でも、心身の不調やハラスメントがあるなら、年代より健康を優先してください。
| 年代 | 気をつけたい点 | 先にすること |
|---|---|---|
| 20代 | 経験が浅く、合う・合わないの判断が早すぎることがある | 辞めたい理由を書き出す |
| 30代 | 責任が増え、仕事の量が原因になりやすい | 仕事の量と担当を相談する |
| 40代以降 | 家族や住まいなど、生活への影響が大きい | お金と次の働き方の見通しを立てる |
管理職になって辞めたくなった人は
昇進してから辞めたい気持ちが強くなった人は、会社を辞める前に、管理職を降りる・担当を変えるといった選択肢もあります。
管理職の悩みについては、管理職になりたくないのは甘え?で、断り方や選択肢を説明しています。
3人の例で考える
よくある3つの状況で、どう判断するかの例を挙げます。
- 毎月80時間を超える残業が半年続き、眠れない人:甘えの問題ではない。休むことを優先し、労働時間の記録を持って相談する。
- 上司に毎日人格を否定される人:パワハラに当たる可能性がある。記録を残し、社内外の窓口に相談する。
- 今の仕事が合わないと1年ほど感じている人:5つの問いで理由を書き出し、社内で変えられることを試してから、転職を考える。
3人とも、自分を責めるより、状態を見分けて次の一歩を選ぶことが先です。辞める・残るのどちらを選んでも、自分で考えて決めたことなら、後から振り返って納得しやすくなります。
辞めるかを決める前の確認リスト
最後に、判断の前に確かめる項目をまとめます。
- 心身の不調・パワハラ・長時間労働の3つに当てはまらないかを確かめた
- 当てはまるなら、休むことと相談を先にした
- 5つの問いに紙に書いて答えた
- 仕事の量・担当・働き方など、社内で変えられることを試した
- 生活のお金と、健康保険・年金の手続きを確かめた
- 一人で決めず、相談先に話した
よくある疑問を、ここで。
使い始める前に、気になるところから。
退職したほうがいいサインは?
心や体に不調が続く、パワハラや嫌がらせを受けて会社が対応しない、法律の上限を超えるような長時間労働が続く、といった場合は、我慢を続ける状態ではありません。休むことと相談を優先し、そのうえで働く場所を変えることを考えてください。
ヤメハラとは何ですか?
退職を申し出た人を強く引き止めたり、嫌がらせをしたりして辞めさせないことを指して使われる言葉で、法律上の用語ではありません。退職をめぐるトラブルは、総合労働相談コーナーに無料で相談できます。
仕事のメンタルが限界に達したサインは?
眠れない・食べられない日が続く、休日も気分が晴れない、涙が出る、仕事中に集中できないなどが続くときは、一人で抱え込まずに相談してください。病気かどうかの判断は、医師などの専門家に任せます。
優秀な人ほど辞めていくのはなぜ?
仕事の量が集中しやすい、成長の機会や評価に不満を持ちやすい、ほかの職場でも通用する自信がある、などが理由として考えられます。自分が辞めるべきかは、他人の例ではなく、この記事の5つの問いで判断してください。
辞めたいと思う自分を責めてしまいます。
厚生労働省の調査では、働く人の68.3%が仕事に強いストレスを感じています。辞めたいと思うこと自体は珍しくありません。責めるより、今の状態を見分けて、休む・相談する・変えるのどれを選ぶかに気持ちを向けてください。
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出典と、この記事について
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- 厚生労働省:令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省 確かめよう労働条件:時間外・休日労働と割増賃金(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省:職場におけるハラスメント対策マニュアル(新しいタブで開きます)
- こころの耳(厚生労働省):相談窓口案内(新しいタブで開きます)
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- こころの耳(厚生労働省):職場のストレスセルフチェック(新しいタブで開きます)
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