「管理職になりたくない」と感じるのは、甘えではありません。パーソル総合研究所の2026年の調査では、今の会社で管理職になりたい人は15.7%にとどまり、なりたいと考える人のほうが少数派です。
大切なのは、なりたくない理由を分けて、断る・条件を確かめて受ける・社外に道を探すのどれにするかを決めることです。
この記事では、2026年9月24日に確認した厚生労働省の資料と民間の調査をもとに、理由別の選び方と伝え方の例文を説明します。自分の労働条件の扱いは、会社の就業規則と人事の説明で確かめてください。
この記事の目次
結論:なりたくないのは普通。理由を分けて3つの道から選ぶ
管理職になりたくない人は、少数派ではありません。今の会社で管理職になりたい人は15.7%にとどまり、なりたくない気持ちを持つこと自体は普通のことです。
大切なのは、気持ちを我慢するか押し通すかではなく、理由に合う道を選ぶことです。選べる道は、次の3つです。
- 断る:人の管理がどうしても合わない、健康や家庭の事情があるなど、条件が変わっても気持ちが変わらない場合。
- 条件を確かめて受ける:給与・時間・任される範囲が分かれば、判断が変わりそうな場合。
- 社外に道を探す:専門の仕事を続けたいのに、今の会社には役職以外に昇給の道がない場合。
データで見る:管理職になりたい人は5年で24.0%から15.7%に
パーソル総合研究所の調査では、今の会社で管理職になりたい人は2021年の24.0%から下がり続け、2026年は15.7%でした。図「今の会社で管理職になりたい人の割合」で、年ごとの変化を示しています。
日本能率協会マネジメントセンターが2023年に一般社員1,116人に聞いた調査でも、77.3%が管理職になりたくないと答えています。理由で最も多いのは「自分は管理職に向いていない」(53.0%)でした。
英国でも、Z世代の52%が中間管理職になりたくないという調査が2024年に発表され、「意識的なアンボス(conscious unbossing)」と呼ばれました。なりたくない気持ちは、国を問わず広がっています。
今の会社で管理職になりたい人の割合
- 2021年
この調査で最も高かった年
- 2024年
3年で7ポイント近く下がった
- 2025年
前の年からさらに低下
- 2026年
最新の調査
棒が短くなるほど、管理職を目指す人が少ないことを表します。2021年から2026年までに8ポイント以上下がりました。
理由を4つに分けると、確かめることと選ぶ道が決まる
「なりたくない」は1つの気持ちに見えますが、中身は人によって違います。理由ごとに、打診を受けた後で確かめることと、向いている道をまとめたのが表「なりたくない理由と選ぶ道」です。
「責任が重い」は、任される人数や決める範囲が分かると、思っていたより軽いこともあります。「時間とお金」は、給与の数字で比べられます。
| なりたくない理由 | 先に確かめること | 向いている道 |
|---|---|---|
| 責任が重い・人をまとめる自信がない | 部下の人数、決める範囲、相談できる上司や研修 | 条件を確かめて受ける/断る |
| 時間が増える・残業代が減る | 役職手当の額、残業代の扱い、会議の増え方 | 条件を確かめて受ける |
| 専門の仕事を続けたい | 専門職コースなど、役職以外で給与が上がる道 | 社内の専門職コース/社外 |
| 健康・家庭の事情 | 時期をずらせるか、働き方の融通 | 断る(事実だけ伝える) |
残業代が出なくなるのは「管理監督者」に当たる場合
管理職になると必ず残業代がなくなる、というわけではありません。残業代が出なくなるのは、労働基準法41条の「管理監督者」に当たる場合です。
厚生労働省の資料では、管理監督者は経営者と一体的な立場にある人で、労働時間・休憩・休日の決まりが適用されません。「課長」「リーダー」などの肩書きがあっても、権限や待遇が伴わなければ管理監督者には当たらないとされています。
また、管理監督者でも、深夜(22時〜翌5時)の割増賃金と年次有給休暇は対象です。打診を受けたら、次の3つを人事に確かめます。
- 役職手当の額:いまの残業代より多いか、少ないか。
- 昇進後の残業代の扱い:出るのか、出ないのか。管理監督者として扱う理由は何か。
- 働く時間の見込み:会議や部下の対応で、週に何時間くらい増えそうか。
たとえば残業代が月6万円出ている人が、役職手当3万円で残業代の出ない役職になると、月3万円下がる計算です(説明用の数字)。金額で比べると、気持ちの問題か条件の問題かが見えてきます。
断るなら、正式な辞令の前に「理由+代わりにできること」を伝える
断ると決めたら、正式な辞令が出る前、打診を受けた段階で伝えるのが一番角が立ちません。辞令の後だと、会社の人の配置の計画がすでに動いているためです。
伝えるときは、理由を事実だけで短く伝え、代わりにできることを添えます。「やる気がない」と受け取られないように、今の仕事で成果を出したいことをはっきり言います。
伝える前に、次の3つを準備しておくと話が短く済みます。
- 理由を1文にする:「専門の仕事で成果を出したい」「家庭の事情で夜の会議に出られない」など。
- 代わりにできることを決める:後輩の指導、難しい案件の担当、仕事の手順づくりなど。
- 今後の話ができる余地を残す:「数年後に状況が変われば相談したい」と伝えるかどうか。
受けるなら、任される範囲と支えてくれる人を先に決める
条件を確かめて受ける場合は、引き受ける前に「何を任され、何は任されないか」を上司とすり合わせます。範囲があいまいなまま受けると、プレイヤーの仕事と管理の仕事の両方を抱えやすくなります。
確かめておきたいのは、部下の人数、評価をつける範囲、自分が手放してよい担当業務、困ったときに相談できる上司や研修です。「最初の半年はこの範囲だけ」と区切ってもらえると、始めやすくなります。
管理職になってから辛くなった場合の道は、管理職を辞めたいときの3つの道で、降りる・異動・転職を比べています。
- 部下の人数と、評価をつける範囲を聞いた
- 役職手当の額と、残業代の扱いを数字で確かめた
- 今の担当のうち、手放してよい業務を決めた
- 困ったときに相談できる上司・研修を確かめた
社外に道を探す前に、社内の専門職コースと自分の評価を確かめる
専門の仕事を続けたい人は、まず社内に「専門職コース」「エキスパート職」のように、役職に就かなくても等級や給与が上がる道があるかを確かめます。就業規則や人事制度の資料、人事の担当者に聞くのが確実です。
社内にその道がない場合は、社外で自分の経験がどう評価されるかを知っておくと、判断に余裕が出ます。辞める前でも、求人を眺めたり、職務経歴を書き出したりはできます。
転職そのものが怖いときは、転職が怖くて動けない人へで、辞めずに試せる手順をまとめています。
よくある疑問を、ここで。
使い始める前に、気になるところから。
管理職になりたくない人の割合は?
パーソル総合研究所の調査では、今の会社で管理職になりたい人は2026年に15.7%でした。日本能率協会マネジメントセンターが2023年に一般社員に聞いた調査では、77.3%が管理職になりたくないと答えています。調査の対象や聞き方が違うため、数字をそのまま比べることはできません。
管理職になるのは断れますか?
打診の段階で辞退を伝えることは珍しくありません。ただし、昇進の命令を断った場合の扱いは会社の就業規則や人事制度によって違います。断る前に人事の決まりを確かめ、正式な辞令の前に理由と代わりにできることを伝えましょう。
管理職にならないほうがいい人は?
給与や時間の条件を確かめても気持ちが変わらない人、健康や家庭の事情で時間の融通が必要な人、専門の仕事で評価される道がある人は、無理に受けなくてよいでしょう。向いていないと感じる理由が「経験がない」だけなら、任される範囲を区切って受ける方法もあります。
管理職になると残業代はなくなりますか?
労働基準法41条の管理監督者に当たる場合は、労働時間などの決まりが適用されず残業代が出ません。ただし、肩書きだけで権限や待遇が伴わない場合は管理監督者に当たらず、管理監督者でも深夜の割増賃金と年次有給休暇は対象です。
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出典と、この記事について
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- パーソル総合研究所:働く10,000人の就業・成長定点調査(今後どのようなキャリアを考えていますか?)(新しいタブで開きます)
- 日本能率協会マネジメントセンター:管理職の実態に関するアンケート調査(新しいタブで開きます)
- Robert Walters:Conscious unbossing(英国のZ世代の調査)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省:労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために(パンフレット)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省:総合労働相談コーナーのご案内(新しいタブで開きます)
確認した内容と条件は本文に記載しています。結果や使い勝手は、資料や環境によって異なります。編集方針を読む




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